第二話〜王とは〜
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読めることはありますまい」
「…そうですか。ならば御武運をお祈りいたしますよ」
江の意見を真っ向から否定する副官。そして様子を見る限り、孫権の意見もどうやら副官側のようだ。
結局江は交戦の意見に従うこととし、孫権は部隊に出撃の命令を下し、前線の兵士は敵がいると目される河岸の根城に攻撃を仕掛けた。
―――――――――――――――――――――
孫権部隊が突撃を開始してから間もなく、桃蓮の下にそのことを告げる伝令がやってきた。
報告を聞いた桃蓮以下数名の将たちは深い溜息をついた。
「やはり動いてしまったか…」
「やはり、じゃないわよ。だからアイツを副官につけるのに反対したのに」
アイツとはもちろん孫権に攻撃を進言した副官である。
彼は武勇は人より少し秀でてはいるが知に関してはからっきし、いわゆる猪武者というやつだった。
「そのために江をつけたのだがな」
「よく言う。あ奴らが江の実力を知らないことなど分かっていたじゃろうに」
「全くよ。…そろそろ本音を明かしたらどう?」
桃蓮の言葉に祭、焔が追い打ちをかける。
そしてとどめは冥琳が放った。
「あの男をダシにして、江の実力を我が軍に示すのが目的、ですね?」
「…半分正解、といったところか」
「ではもう半分は?」
自分の答えが5割といわれて、内心驚きを感じている冥琳が残りの半分について桃蓮に問う。
そんな冥琳に桃蓮は逆に質問を返した。
「お前は蓮華をどう見る」
「どう、とは?」
「私や雪蓮に比べて、という意味だ」
ああ、と冥琳は顎に手を当て、少し考えるとすぐに口を開いた。
「はっきり言ってしまえば、軍事においては足もとにも及ばないでしょう」
「ほぉ、『軍事においては』か」
「はい、あくまでも軍事に限って言えばそうなります。しかし私が思うに蓮華様の真価はそこではないと思うのです。彼女は周囲を見ることに長けている。おそらく雪蓮、そして桃蓮様よりも『王』としての資質があるかと」
「本人を目の前によく言ってくれる」
「とは言え、今はまだ考え方が堅いですが…」
冥琳の率直な言葉に苦笑を浮かべる桃蓮。
しかし冥琳の見立ては桃蓮が考えていたものと同じだったために反論もとがめもしなかった。
「まぁそういうことだ。つまりゆくゆくは蓮華がこの国をまとめることになる。しかしその時には隣で支えてくれる誰かが必要なのだ」
「それでこの戦をきっかけに蓮華と江を仲良くさせようってわけ?」
雪蓮の言葉に桃蓮は首肯を以て応える。
その行為に雪蓮は頬をふくらませ、口を
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