第二幕その七
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「やっとか」
ここでダンカイロ達が出て来た。そうして彼等の思わぬ登場に戸惑うホセを尻目にやはりホセと同じく戸惑うスニーガを取り囲む。彼にピストルを突きつけてレメンダートが言う。
「悪いけれどこのまま一時間程大人しくしてもらうよ」
「俺達も仕事があるんでな」
「では貴様等はやはり」
「ああ、そうさ」
レメンダートはニヤニヤと笑いながらスニーガに答えた。
「その密輸団さ」
「ホセ」
スニーガはまたホセに顔を向ける。そうして言うのだった。
「御前はそれでいいんだな」
だがホセは答えない。顔を背けるだけであった。
「・・・・・・そうか、なら仕方がない」
スニーガもそれ以上言わなかった。これでホセの運命は決まってしまった。
「以後君は脱走兵だ、いいな」
「ということよ」
カルメンはホセの側まで来た。そうしてホセに対して声をかける。
「わかったわね」
「・・・・・・ああ」
ホセはこくりと頷く。もう逃げることは出来なかった。
「わかったよ。もう俺はこれで」
「世界をねぐらに気ままに生きるのよ」
それこそがジプシーの暮らしであった。カルメンはそれをホセに対してたたえてみせるのであった。
「自由にさすらってね」
「自由よりも」
またホセは自由を否定する。それよりも。
「御前と一緒にいられる。それだけでいい」
こうしてホセはカルメンと共に生きることになった。これ以後このセビーリアでホセを見た者はいなかった。彼は密輸団の一員としてカルメンと共に生きることになったのであった。
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