第七章 銀の降臨祭
第一話 わたしが……まもる
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
して士郎を見上げるルイズ。
「まあ、別にいいが。じゃあどっちの竜に乗るんだ? ジュリオの方が確実に竜の扱いは上手いが」
「? 何言ってんのよ? シロウしかいないじゃない?」
「いや、ジュリオもいるんだが?」
「え?」
「ん?」
「…………もういいですからさっさと行きましょう」
士郎がルイズの言葉に首を傾げ、ルイズも士郎の言葉に首を傾げる。互いに首を傾げ合う二人の姿に、その端正な顔に浮かぶ笑みをヒクつかせると、ジュリオは自分の風竜に向かう。
将校等から聞き出した話により、捕虜を捕まえた大体の位置は知っていた士郎だったが、正確な場所まではわからなかった。そのため、目的地までは、ジュリオが先導する形となっていた。最初は素人同然と思われる士郎に配慮し、ジュリオはゆっくりとした速度で風竜を飛ばしていたが、正規兵の竜騎士並の腕前を見せた士郎の姿に、段々と速度を早めていった結果。ジュリオが駆る風竜と、士郎が駆るルイズを乗せた風竜は、一時間ほどで目的の場所まで辿り着いた。
「ここです」
「ここか?」
右手を上げ、後ろにいる士郎に止まるよう指示を出したジュリオに従い、士郎は空中で留まる。
「ええ、ぼくが彼らを見つけたのがこのあたりですね」
「……近くには何かあるのか?」
辺りを見渡しながら尋ねる士郎に、ジュリオは自分たちが向かっていた進行方向に指を向ける。
「あのまま真っ直ぐ行くと、サウスゴータがあるね」
「確か、古都として有名な観光地だったな」
「とても綺麗な街だって聞いたことがあるわ。見てみたいわね……ねぇシロウ?」
「……敵地だぞ。今の俺の腕じゃ逃げきれる自信がない」
「それじゃあ。逃げきれる自信が出来たら行きましょうか」
「行くことは確定なのかっ!?」
「? 当たり前でしょ? 何言ってるの?」
「…………あなたたちはここに何しに来たんですか」
頭を抱える士郎と、それに不思議そうな顔を向けるルイズ。ジュリオは疲れた様子が伺える顔で、士郎たちに注意する。
「わかった、わかったから。必ず連れて行ってやるから、だから今はそれは置いておけ。ジュリオも呆れているだろうが。――済まんな。そうか……それ以外に何かないか?」
「そう……だね。いや、やっぱり何もないですね。後は、小さな村が点在するぐらいと……精々この下に見える広大な森ぐらいですか」
ジュリオは、風竜の上から地上に広がる広大な森を見下ろす。
士郎は一度眼下の森を見渡す。次に風竜に指示し、暫らく辺りを飛び回っていたが、何もないことがわかると、ジュリオの隣まで戻る。
「……何もないな」
「そうですね。そろそろ戻りますか? 敵が来るかもしれませんし」
「……そうだな…
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ