第七章 銀の降臨祭
第一話 わたしが……まもる
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の経験から、また士郎に新しい女でも出来たのではないかと考え――それからは所謂嵐の如く――いや、どちらかと言えば、静かに燃える火炎と言ったほうがいいのか……。
ルイズが何故怒っているのか分からず、呆然とする士郎の耳を引っ張りながら、天幕の影まで連れ込み。ルイズは士郎を責め立てた。
静かにだが、触れれば消し炭になるかのような怒りの炎を燃やすルイズを何とか鎮火させることに成功した士郎は、今、ルイズを連れ誤解の元凶の下へと向かっている。
「着いたぞ」
「……ここって」
士郎が立ち止まった先を見て、ルイズは戸惑ったような声を上げた。
他の部隊の天幕から離れた先のポツンと取り残されたように張られた天幕は、竜騎士大隊本部のものだ。何故竜騎士大隊本部の天幕だけが離れて貼られている理由は、遠く離れていてもうるさい程の風竜の声が原因だろう。
「……あそこか。ルイズこっちだ」
「シロウ?」
シロウは天幕の周りに繋がれている風竜の世話をしている人物を見つけると、ルイズを促し、目的の人物の下まで歩いていく。
「ジュリオ」
「ん? ああ、シロウさん」
飼葉桶に顔を突っ込み、必死に餌を食べている風竜の首筋を優しく撫でながら微笑んでいたジュリオは、後ろから掛けられた士郎の声に笑いながら振り向く。
「わ……ぁ……」
優しく微笑みながら振り向いたジュリオの顔を見たルイズは、その余りの美しさに息を呑む。
ジュリオは士郎の横で呆然と立ち尽くすルイズに気付くと、笑みをさらに濃くする。軽く数度竜の首を叩くと、ジュリオは歩き始めた。その行く先は、士郎……ではなく、ルイズの下。
「あなたがミス・ヴァリエールですね。噂以上にお美しい!」
「あっ」
ジュリオは大げさな仕草でルイズの美しさを称えると、その手を取り、口づけようとするが、
「――何をやっている」
「シロウ……」
「……シロウさん?」
ルイズの手の甲に、その唇が触れる直前。士郎の大きな手がジュリオの顔を掴み、その動きを封じ込めていた。
ルイズが驚きながらも、何処か嬉しそうな表情で士郎を見上げる。そして士郎の手によって顔を掴まれたジュリオは、ひくついた顔で士郎を見上げていた。士郎はそんなルイズたちから顔を逸らしながら、ジュリオの顔を掴む手を振り、ルイズから遠ざける。
「わっ、とと……何をするんですかシロウさん」
「それはこっちのセリフだ。何をしようとしたお前は」
「何って? 美しい女性に挨拶をと思いまして」
金髪をさらりと揺らしながら肩を竦めて見せるジュリオの姿に溜め息を吐いた士郎は、眉間に出来た皺を揉みほぐしながら、隣りで機嫌よく笑っているルイズを見下ろした。
「それで、だな。昨日の夜、最後にこいつに会ってな。多
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