第七章 銀の降臨祭
第一話 わたしが……まもる
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上陸した先は、港町ロサイス。そこは、アルビオンの首都であるロンディウムの南方三百リーグに位置にあった。
上陸した連合軍は、始めアルビオン軍からの反撃を予想し、ロサイスを中心にした円陣を築いていたのだが、予想に反し、アルビオンからの攻撃はなかった。
侵攻軍の首脳部は頭を抱えてしまう。この場での決戦の後、そのままロンディウムに進軍する作戦を立てていたのだが、それが潰れてしまったからだ。
連合軍は総勢六万もの大所帯だ。それを維持するのには、大量の兵糧を消費する。食料だけでなく、他にも様々なものを消費する。そのために、首脳陣は出来るだけ短期間で勝敗を決したかったが、それが無理になってしまった。
連合軍には、現在補給物資が六週間しか残っていない。
そのため、首脳陣は今後の指針を、早急に決定しなければならなかった。そして今、ロサイスの空軍基地において、その指針を決定するための、首脳陣たるトリステインとゲルマニアの将校たちによる、喧々諤々の軍儀を開いていた。
その軍儀の結果により、これからの方針が決定される。
そんな大事な軍議とは全く関わり合いはないが、その同時刻、軍儀が開かれている建物から離れた一角において、一人の男が窮地におちいっていた。
窮地に追いやられている男の名は衛宮士郎。
追い詰めている者の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
その理由は、
「ねえシロウ? あなた昨日誰と会っていたの?」
「ルイズ落ち着け。だから将校の方と会っていたと言っているだろう」
優しく微笑みながら迫るルイズを、両手を前に出して落ち着かせようとする。
ルイズは突き出される手を優しく両手で包むと、それを自身の胸に導いた。
「るっ、ルイズ?!」
「……感じる? わたしは今とっても冷静よ。だから安心して言っていいのよ……」
微かにだが柔らかい感触と、落ち着いた鼓動を手の平に感じながら驚愕の声を上げる士郎に、ルイズは優しく慈母の如き微笑みを浮かべ。
「新しい女の名前を――ッ!!」
「だから違うって言ってんだろおおおおおおおッ!!?」
「ついて来たら分かるって……どこまで行くのよ?」
「いいから来れば分かる」
昨晩、何時の間にか竜騎士隊の少年たちの酒宴から、士郎がいなくなっていることに気付いたルイズは、一晩中基地の周りを探し回っていた。ルイズが士郎を見つけたのは、日が昇った朝方。今は侵攻作戦の軍儀が行われている建物から、のこのこと出て来た士郎を見つけたのだ。それを見て怒鳴りつけようとしたルイズだが、掴みかかった士郎から微かに香った香水の臭いに、怒りながらもやっと会えた喜びに綻びそうになる顔が固まった。
ルイズはこれまで
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