第七章 銀の降臨祭
第一話 わたしが……まもる
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「メイジでもないのに竜騎士隊の隊長とは、それほど竜の扱いが上手いということか。それで、俺と話してみたいと言っていたが、何か聞きたいことでもあるのか?」
「特にそういう訳ではなかったんですよ。ただ、ちょっとどういう人なのか話してみたと思っていただけで」
はははと、笑うジュリオを見た士郎は、欠片も笑う様子は見せずに、口を開いた。
「では俺から少し聞きたいことがある」
「……何かな」
ジュリオは浮かべていた笑みを、微かに硬くする。
「……アルビオンの竜騎士隊を捕らえたのは君か」
「……何故それを」
「彼らを捕らえた者のことを聞いたんだが、どうも嫌な顔をされるだけで教えてくれなくてな。君と話していてその理由がわかった」
「それは……怒っていいのかな?」
ハッキリと笑みを硬くしたジュリオに、士郎は訝しげな顔を向けた。
「ん? 何でだ? 俺はメイジじゃない君が、手柄を得たことに周りの貴族どもが嫉妬したんじゃないかと思ったんだが」
「……そう言う意味ですか……」
肩を落とすジュリオを不思議そうな顔で見下ろしていた士郎は、気になっていたことを問いただす。
「君があの竜騎士たちを捕らえた時の状況を教えてはくれないか」
「別にいいですけど。まあ、特に話すようなことはないですよ」
「ないのか?」
「ええ。哨戒中彼らを見付けたんですよ。攻撃することも、逃げることもせずただ飛んでるだけで変だと思って近づいてみると、ほとんど意識がないような状態だったんで、彼らを乗せていた竜たちを手懐けて、ここまて連れてきただけなんですよ」
「そう……か」
黙り込んで考え込みだす士郎。
ジュリオはその様子を、探るような視線で眺めている。
「どうかしましたか?」
「いや。何でもない。ありがとう、話してくれて」
「このくらい何でもありませんよ」
片手を顔の前で振るジュリオを見て、ふむと、一度頷いてみせる。
「すまないが一つ頼みがあるんだが?」
「何をです?」
「俺を彼らを見付けた場所まで連れて行ってくれないか?」
「別に構いませんが、どうしてですか?」
「少し気になることがあってな」
顎に手を当て、士郎は一度目を伏せる。
「明日、許可を取ってみる」
「では、それまでぼくは竜騎士大隊本部で待っていますね」
「ああ、頼む」
ジュリオに背を向けた士郎は、そろそろ酒盛りを終えた第二竜騎士中隊が眠る天幕に向かって歩き出す。夜が深まり、ますます闇が濃くなる森に消える士郎の背を、ジュリオは見えなくなるまで最後まで見つめていた。
「……君は一体何者なんだ……ガンダールヴ」
トリステインとゲルマニアの連合軍が
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