第七章 銀の降臨祭
第一話 わたしが……まもる
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を見せる。
「……何者だ貴様は」
「そう殺気だたないで欲しいな。安心しなよ。敵じゃない」
透き通るような美しい声と共に現れたのは、一人の少年だった。しかし、只の少年ではない。僅かな星明かりに照らされたその姿は、美しいとしか言い様のないものだった。
か細い明かりでさえ、燦然とした煌きを魅せる金の髪。透き通るような白い肌。微かに香るのは、花の香りを纏う香水の匂い。美しい少女の如く整った顔立ちは、息を呑むほどと言っても過言ではないだろう。
士郎の前まで歩いてきた少年は、その美しい顔を綻ばせながら、話しかけてくる。
「人間の使い魔がいるって聞いて、是非話してみたいと思っていたんだ。それで君を見つけたのはいいけど、話しかける機会を伺っていたらこんなところまでついてきてしまったんだ。不快にしてしまったらすまない」
小鹿の革の白い手袋を嵌めた手で髪を掻きながら、少年は苦笑を浮かべる。
少年はそのまま士郎に更に近づくと、右手を差し出してきた。
「ぼくはジュリオ・チェザーレ。ロマリアの神官だ。まっ、今は一時的な還俗の上で、第三竜騎士中隊の隊長をしているよ」
「ロマリア……確かハルケギニアの寺院を束ねる『宗教庁』がある国だったか」
「……よく知っているね」
「知らない方が可笑しいのでは」
「確かにそうだね。すまない、変なことを言って」
「いや、構わないが」
士郎も右手を差し出すと、握手を交わし合う。
触り心地のいい小鹿の革の感触の下には、鍛えられ、硬くなった男の手の平の感触が感じられた。
線の細い外見とは違い、随分と鍛えられていると感じられたが、それ以上に気になるものを、士郎は目にし、思わず口にしてしまう。
「オッドアイか」
「ん? ああ、この目かい? 珍しいだろう。虹彩の異常らしくて、左右で違うんだ」
ジュリオの言葉通り。彼の左右の目の色は違っていた。左目はルイズと同じ様な鳶色であったが、右目は透き通るような碧眼であったのだ。
「それで、君が噂の使い魔の……」
「ああ、衛宮士郎だ」
「エミヤシロウさんですね」
「シロウでいい」
「わかった」
士郎は手を離すと、ジュリオから一歩下がり、その姿を再度改めて見直す。
今も酒盛りをしているだろう、護衛の第二竜騎士中隊の少年たちと同じ様な格好をしている。細かい違いはあるのはあるが、特に変わったというところはない。ただ一つ。挙げるとすればある。
「竜騎士隊と言うの本当のようだが。もしかして君はメイジではないのか?」
「ええ。ぼくはメイジじゃないですよ。ただ、竜の扱いは誰よりも上手いですけど」
第二竜騎士中隊の皆の腰には、魔法を使用するための杖が差していたが、ジュリオの腰には、剣しか差されてはいなかった。
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