暁 〜小説投稿サイト〜
〜烈戦記〜
第二話 〜道中〜
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ま賊の身体を真っ二つに引き裂いた。

剣もろとも。


鮮血が飛び散らしながらその肉片は左右に落ちた。

『あぁ…あぁ…』

既に賊達からは闘いの意思は感じられず、目の前の惨劇を見せられた恐怖の感覚がヒシヒシと伝わってくる。

すごい。
これがあの凱雲なのか。
そう感じたのと同時に恐怖を覚えた。

『…次の相手は誰じゃ?』

『に、逃げろ!!』

その声で賊達が一目散に散らばっていく。
しかしそれを追おうとはせず凱雲は仁王立ちしている。

この人には敵わない。
自分の腕がどれほどのモノかを理解させられた。

『…豪帯様、片付きました』

凱雲から声をかけられる。

『う、うん』

まだ身体が震えている。
足が立たない。
初めて人と人との"殺し合い"を目の当たりにしてこの様である。
本当にあの時僕は顔を出さなくてよかった。

『これが私達兵士にございます』

そう言うと凱雲は肉片の片割れを持ちあげて森の方へ向かう。
その意図を察して声を上げた。

『あ、凱雲!!待って!!』
『ん?どうかなさいましたか?』

なんとかおぼつかない足取りでテントから出る。

『死体の…お墓作らない?』
『…』

凱雲は呆気にとられていた。

『賊の死体に情けは無用でございますよ』
『いや、そうなんだけどさ…』

凱雲に近寄る。

『多分…この人も何かがきっかけで賊になったんだと思うんだ。』
『…賊一人一人に同情していては霧がございませんぞ』
『わかってる。ただ、今回は一人だけなんだしさ。これくらいはいいかなって』

その言葉に凱雲は空を見上げた。

そして溜息をついた。

『お父上とそっくりでございますな』



本当なら僕の我儘だし僕自身も一人で墓を作る気でいたが、凱雲は何も言わずに手伝ってくれた。
本来なら森の中にある街道という事である程度深い場所に放置して
おけば獣や自然に処理してもらえて疫病の心配ない。
これが村や街ならまた話は別だが、ここは人通りの少ない田舎の街道。
内心は無駄な手間が増えた事に不満はあるとは思うが、それでも手伝ってくれるのが凱雲のいい所だ。

そして簡単なお墓ができた。

『ふー、できた』
『ええ、彼も賊の身でここまでされては来世では悪さはできないでしょう』
『…凱雲、ありがと』
『いえ』

そうして床へとついた。



『…ん〜…ん〜』
『…』

朝、日が登りかけで僕らは馬を進めていた。
昨日の夜の出来事で相当寝る時間を削られてしまったようですっかり寝不足である。

まぁ隣の凱雲は一睡もしていないのだが。
そう思うと毎回毎回大変だなと思う。

『…豪帯様、手綱はしっ
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