第二話 〜道中〜
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血を見るのは嫌だ。
痛い思いもしたくないしさせたくない。
戦場で命を掛けて戦った兵士から言えばこれ程馬鹿げた話は無いだろう。
だが本心がそう言ってしまっている。
一体僕はこの先どんな道を歩むのだろうか。
そんな思いに耽っていた。
『野郎共!!囲んじまえ!!』
そんな時、それらは現れた。
急な怒声と共に深夜で静かな雰囲気は去り、辺りは騒然とした空気になった。
僕は慌ててテントの外を見る。
どうやら賊に見つかったようだ。
相手は…
約18人…
まずい。
本当にそんな状況だった。
それと対峙するのは2mの大男一人
いくら強いとはいえ相手の数が数だ。
しかも凱雲を恐れていればまた話は別だか、賊達の目はそれではなかった。
警戒は必要だが戦える。
そんな目をしていた。
僕は自分が敵を倒せるかどうかを御構い無しにとにかく僕らが少しでも有利になるように加勢しようとする。
生き残る為に。
『…豪帯様、手出し無用にございます』
それを察したように凱雲が小声で止める。
一人で大丈夫な訳がない。
そう言おうとしたがその前に彼は言った。
『この程度、私一人で十分です』
相手は18人。
それを前にして"この程度"と言ってのける彼はいったい幾つの修羅場をくぐり抜けて来たのだろうか。
決して僕を危険な目に合わせないようにとかそんなのではない、確固たる自信がその言葉にはあった。
『荷物と有り金全て…』
賊が喋り始めた。
『『控えろ!!』』
夜空に怒号がこだました。
一瞬心臓が飛び出るかと思った。
現に今僕の身体は強張って動けない。
そして凱雲と対峙する賊達はその怒声に咄嗟に後ずさりした者や尻餅をついた者もいた。
こんな凱雲見た事が無い。
『貴様ら、覚悟はできておろうな』
そう言って凱雲は得物である大薙刀の刃に被さった布を取る。
その刃は月に照らされて怪しく光を放っていた。
それをこんな状況でも素直に綺麗だと思ってしまった。
『や、野郎共!!かかれ!!』
完全に空気に呑まれてしまってリーダー格の賊の号令はなんとも情けなく、"勝った"と一瞬で勝利を確信した。
18対1で剣も交えていないのに、である。
それくらいに凱雲が頼もしかった。
賊の一人がなんとか凱雲の前に出る。
明らかに怯えているが、勢いに任せたその身体は既に止まる事を許さない。
自分をわざと死地に追い込んでなんとか凱雲に斬りかかる。
『うわぁぁぁぁ!!』
『ふんっ!!』
大薙刀が賊の頭へ振り下ろされた。
一瞬の出来事。
賊は身を守ろうと剣でその斬撃を受け止めた。
だが、大薙刀の刃はその勢いのま
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