第二十二話 雪男の一家その十二
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「この冷凍庫の中には」
「ないんですか」
「特に」
「いや、怪しい場所はある」
「御前さん、あそこだね」
雪女もここで夫に応える。
「あそこのことだね」
「怪しい場所はあそこしかないだろうな、冷凍庫だと」
「そうだね、あそこだね」
「うん、あそこだよね」
雪ん子も両親に応える。
「あそこしかないよね」
「そうだ、じゃああそこを紹介するか」
「それがいいね」
家族で納得してそのうえでだった。
雪女の家族は二人に向き直ってこの場所を紹介した、そこは何処かというと。
「冷凍庫の奥の氷室だな」
「そこになるね」
「氷室?」
「何ですかそれ」
二人はそう言われても目をしばたかせるばかりだった、氷室と言われてもその場所が何処なのか全くわからないのだ。
その二人に日下部が話した。
「氷置き場だ」
「あっ、氷を置く場所ですか」
「そこですか」
「昔は氷は氷室に置いて保存していた」
戦前生まれなのでまだ氷室を知っている世代だから話せた。
「それがまだこの冷凍庫にあるのか。いや」
「いや?」
「いやっていいますと」
「今は氷は普通に作ることが出来る」
水をこうした部屋に置けばそれで出来る、昔はそうはいかなかったので氷室といったものが必要だったのだ。
「それはないな」
「ええ、違うわ」
「わし等がそう言っているだけだからな」
雪女と雪男の夫婦も日下部に答える。
「氷を作るお部屋よ」
「そこだ」
「で、そこがですか」
「泉の候補地なんですね」
「まあここだとあそこしかないからね」
「怪しい場所はな」
具体的にどういった意味で怪しいか、二人は愛実達にこのことも話した。
「音頭がここより寒いしね」
「保存しているものも違うからな」
「氷ですよね」
「それですよね」
「あとアイスクリームとかアイスキャンデーね」
「そうしたものも保管しているからな」
一行が今いる冷凍庫は肉や魚介類が置かれていう、だがその部屋はそういったものではな氷やアイスクリーム等が置かれているというのだ。
「あそこだけ部屋割りも随分違うし」
「あそこへの扉しかないな」
「わかりました。じゃあ今から」
「調べてきますね」
二人も雪女の夫婦の言葉に頷きそのうえでだった。
今回も二人で泉の候補地、雪女夫婦に案内された氷室への扉の前に日下部と共に行った、そこは冷凍庫の奥にあった。
「ここだな」
「はい、ここですね」
「この扉なんですね」
二人は日下部の言葉に応えながら如何にもよく冷えた感じの金属の扉を見た。
こうした場所の扉らしく非常にぶ厚い、それを見て言うのだった。
「ここが若しかして」
「泉なんですね」
「では入ってみることだ」
日下部もその扉を見ながら二人に言
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