第二十二話 雪男の一家その十
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「この冷凍庫にだ」
「いるんですね、妖怪さんが」
「雪女さん達が」
「そうだ。この冷凍庫自体が家だが」
言うならマンションやアパートの一室になっているというのだ。
「さて、何処にいるから」
「呼んだら来てくれます?」
「そうしてくれます」
「そう思うがどうだろうな」
日下部は今度は周囲を見回しながら話す。
「妖怪だから神出鬼没だがな」
「じゃあ今ここに出て来てもおかしくないんですね」
「私達の目の前に」
「そうだ、さて」
日下部がまた言おうとしたところでだった。
三人の前に小さな吹雪が起こった、そしてだった。
白い髪にほっそりとした身体を白い着物で包んだ透き通る様な肌の女が出て来た、顔立ちは何もかもが整い一目見ると忘れられない位だ。
その美女が出て来て一行に言ってきた。
「日下部さんとそっちの海軍の娘達は」
「はい、八条学園の生徒です」
「商業科の一年です」
「この学校の生徒さんね」
「雪女さんに会いたくて来たんですけれど」
「いいですか?」
「ああ、そういえば話は聞いてるわ」
雪女は気付いた顔になって二人に返した。
「今うちの学園の妖怪や幽霊に会って回ってる娘達がいるって」
「そうなんです。あと泉も探してます」
「妖怪さん達がこの学園に入って来ている泉を」
「そうね。それが貴女達だったのね」
雪女はその透明感のある澄んだ声で応えた。
「それで今ここに来たのね」
「はい、そうです」
「それでなんです」
「話はわかったわ。それじゃあね」
「ここにいていいですか?」
「それでお話をして」
「いいわよ」
雪女は優しい笑みでまた応えた。
「この学園では来る者は拒まずだからね」
「すいません、それじゃあ」
「今から」
「主人と子供達も紹介するわね」
話は雪女がリードしていた、そのうえで二人にこうも言ってきた。
「そうするわね」
「はい、雪男さんと雪ん子ちゃんですよね」
「そうですよね」
「もう知ってるのね。勉強したの?」
「あと妖怪さん達からお話を聞いて」
「それで知ってました」
「二人共しっかりしてるわね」
雪女も感心することだった、横の日下部も確かな顔で二人を見ている。
その雪女が二人にこうも言った。
「じゃあ余計に話は早いわ。それじゃあね」
「紹介お願いします」
「今から」
「来て」
雪女が自分の右手を見るとだった。
白い毛で全身を覆われ白い蓑を着けてやはり白の袴の男が来た、背はかなり高い。
それに可愛らしい中世的な、やはり何もかもが白い。
その二人がこう言うのだった。
「やあ、雪男だよ。雪女の亭主のね」
「雪ん子です。二人の子供です」
二人共右手を挙げて愛実と聖花に陽気に挨拶をする。
「宜しくお願い
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