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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第七話「紅髪の少女 × 金髪の少女 = 相互反発」
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ら、だれにもチームに入れてもらえないからって編入生を色仕掛けでたぶらかすなんて、さすが辺境の田舎貴族だわ。やることがせこいわね」


「へ、辺境の田舎貴族ですって……ッ!」


 途端、リンスレットの顔が引きつる。地雷を踏んだようだな。


「ローレンフロスト家なんて、家柄だけがご自慢じゃない。他になにか取り柄でもあるの?」


「な、なな――」


「お、お嬢様、落ち着いて!」


「ふ、ふふふ、お、落ち着いていますわよ、キャロル?」


 リンスレットよ、笑顔がぎこちなくてとてもそうは見えないぞ。


 黒髪の少女がクレアの方を向き、嘲るように言った。


「はっ、クレア・ルージュに至っては、貴族どころか反逆者の妹じゃないか。まったく、学院はどうしてこんな奴の入学を決めたのやら――」


「黙りなさい、消し炭にするわよ」


 クレアが鞭で地面を叩く。感情の抑えが利かないのか手は震え、紅い瞳は静かな怒りを燃やしていた。


 ――反逆者の妹、か。


 空気が変わったのを察したのか、エリスが二人をたしなめる。


「お前たち、言い過ぎだ」


 しかしまだ言い足りないのか、不満な顔で少女は抗議した。


「ですが、団長!」


「そこまでにしたらどうだ?」


 流石にこれ以上は見過ごせない。二人を庇うように前に出た俺は風王騎士団を正面から見据える。


「さっきから黙って聞いていれば、人の中傷しか口にしない。ここに通う子女たちは礼儀正しく、心優しい生徒だと聞いていたのだが、どうやら認識を改めなければならないようだ」


「なんだと! 貴様っ」


 三つ編みの少女が激昂して前に出る。


「なにか場違いなことでも言ったか? 人を平気で罵る者が礼儀正しい、ましてや心優しいとでも言えると? 学院の風紀を任される者がその調子では困るな」


 肩を竦めて挑発すると案の定、歯軋りをした三つ編みの少女は憤怒の目で俺を睨んだ。


「……言ってくれるじゃない。男の精霊使いだからっていい気になってんじゃないわよ」


「ふむ、俺の目には君の方が風王騎士団を笠に着ているように見えるのだが?」


「貴様……それ以上は騎士団への侮辱と見做すぞ」


 ここに来てエリスも前に出て剣を抜く。その目は鋭く、射るような目を俺に向けていた。傍らの少女たちも腰の剣を抜き、切っ先をこちらに向けた。


「その言葉、そっくりそのままお返ししよう。先に侮辱をしたのはそちらだ。俺もそこまで人間ができている訳ではないのでね。友の侮辱は俺に対する侮辱だと知れ」


「そうね、あたしへの侮辱は好きにしなさい。けど、姉様への侮
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