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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第七話「紅髪の少女 × 金髪の少女 = 相互反発」
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じられないものを見るような目を向けてきた。


「あ、あなた……あんな家畜小屋で寝泊まりするんですの?」


「……不本意ながらな」


「……」


「いや、そんな哀れむような目で見るのは止めてくれ。意外と胸にくるから」


 本気で引いているリンスレットに予想外な精神的ダメージを受けた。


「あんなところに住むくらいでしたら、わたくしの部屋においでなさいな。特別に使用人として雇って差し上げますわよ」


「あ、執事服なんかきっと似合うと思いますよ、お嬢様」


 キャロルがニッコリ笑って追随する。


 執事か……旅をしている時に一度だけ経験しているが、あれは苦い思い出だ。出来ればもうやりたくないな。


「心遣いはありがたいが、辞退する。折角、造ってくれた人がいるんだ。無下にはしたくない。……それに執事なんて冗談ではないわ」


「そうですの。意外とお優しいのですね……」


「一度決めたことだ。相応のことがない限り曲げたくはない」


 一度決めたことは決して曲げるな。けれど柔軟な思考も持ち合わせろ。固執は成長の妨げにしかならない。これも師匠の教えの一つだ。


 ふと視線を感じた。見るとリンスレットが惚けた表情で俺の顔を眺めている。なんだ、なにもしてないぞ?


 リンスレットの後ろではキャロルが口元を手で押さえ、クスクスと笑っていた。解せぬ……。


「まあ、使用人になることは出来ないが、友人にはなれるぞ?」


「えっ?」


 キョトンとするリンスレット。自分からこういうことを口にするのは初めてで、少し照れくさいが、スッと右手を差し出した。


「こっちに来てからまだ日が浅くてね。よければ友達になってくれないか」


 パァっと顔を輝かせたリンスレットは差し出したてを両手で掴んだ。


「ほ、本当ですのっ!? ――ハッ」


 急に態度を豹変させたリンスレットは正気に戻ると、掴んでいた手をパッと手を離した。


「と、友達がいないのは可哀想そうですからね、仕方なく――そう! 仕方なく! 友達になって差し上げますわ!」


 素直じゃないな。


 リンスレットの態度に苦笑しながら俺は改めて名乗った。


「リシャルト・ファルファーだ。夕凪流古武術第三十八代目継承者にして男の精霊使いでもある。これからよろしく頼む」


「リンスレット・ローレンフロスト。名門ローレンフロスト家の長女で精霊使いですの。こちらこそよろしくお願いしますわ」


 改めて握手をする。リンスレットの後ろでキャロルがパチパチパチと手を叩いて喜んでいた。


「リンスレット・ローレンフロスト!」


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