第七話「紅髪の少女 × 金髪の少女 = 相互反発」
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「あ、あの、助けていただいてありがとうございます! 私、お嬢様の専属メイドのキャロルです!」
「リシャルト・ファルファーだ。リシャルトでいい。別に感謝されるほどのことをしたわけではないから、頭を上げてくれ」
頭を上げたリンスレットは俺の顔をまじまじと見つめた。
「それにしてもどうやってキャロルの元に? 十メートルはありましたのに。全然見えませんでしたわ」
「そうです! 気がついたら目の前にいてビックリしました!」
好奇心に満ちた目を向けてくる。苦笑して簡単な説明だけをした。
「俺の修めた武術の技だ。簡単に説明すると距離を一瞬にして詰める歩方だな」
「へぇ〜、そんな技があるんですかー」
「リシャルト様、武術を嗜んでますの?」
「まあな」
そうですかと頷くリンスレットにキャロルがバスケットを差し出した。
「お昼にしましょうよ、お嬢様。私もうお腹ペコペコです」
「そうですわね。リシャルト様もいかがですか? わたくしの下僕になると誓うのでしたら、恵んで差し上げてもよろしくてよ」
何、その選択肢。あるようで無いし。
「なら遠慮しておこう。君たちはゆっくりしていくといい」
「ま、待ちなさい! クレア・ルージュには尻尾を振ったのに何故わたくしはダメなのですか!」
「べつに尻尾を振った覚えはない。クレアの契約精霊云々を言うのなら、あれはアイツが勝手に言い出したことだ。まったくの事実無根」
予想していた返答と異なっていたのか、リンスレットは目を丸くした。
「そうなのですか?」
「そうなんだ。第一、人間である俺が精霊契約できるわけがないだろう」
精霊契約とはその名の通り、人間と精霊間で結ばれるものだ。クレアは何を考えてあんなことを言っているのやら。
「そうですか……」
「あのあの、リシャルトさん! リシャルトさんはどちらに泊まられるんですか?」
軽く俯いて黙考しているリンスレットの隣でハイハイ、と手を上げるキャロル。
「ああ、それなら――あれだ」
「え?」
視界の隅にひっそりと佇んでいた建物を指差す。
キャロルはその建物を見て首を傾げ、どこにあるんですか、と視線を向けてきた。
頭に『?』が乱舞しているな……。
もう一度指を差し頷くと、漸く理解したのか驚愕の表情を浮かべた。
「――? どうしたんですの?」
「お、お嬢様……リシャルトさんのお家なのですが――」
俺の家があの今にも崩れそうな手作り満載の木造建築の家だと言うと、リンスレットは信
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