46:救ってみせろよ
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わたしの必死の叫びも空しく、二人は膨大なエネルギーを纏って衝突。そして一瞬で辺りは閃光と爆風に包まれ、視界を染めた。
「う、くっ……」
痺れてロクに上げることも出来ない腕でかろうじで目を覆い、光と風を遮って数秒。
ようやくそれらが止み、粉塵に覆われていた二人の姿も徐々に明らかになってくる。
『『……………』』
二人は、互いの武器を交差させる形で静止していた。
巻き上がっている粉塵のせいで、わたしの目にはまだそれがシルエットとしてしか見えず、どちらがどのように攻撃を喰らったのか分からない。その動かぬシルエットは、今にもどちらかがポリゴンに散ってしまいそうで焦燥が走る。
そんな中、
「…………やっぱり――無理、だったな……」
最初に口を開いたのはキリトだった。
「「なっ……」」
それを見たわたしとユミルは声を失った。
キリトの繰り出した渾身の《ヴォーパル・ストライク》は…………空を、斬っていた。
ユミルの肩のすぐ横を通過していて……わざと外していたのだ。
そして、その代わりに……ユミルの振り下ろされた大鎌の長刃が、キリトの肩に裂き刺さっていた。
「お前……ッ、なにやってんだよォッ!?」
続いてユミルは涙目のまま驚愕の声を上げた。
しかしそれに構わずキリトは、肩に刺さった大鎌に空いている左手をやった。
「それは……俺のセリフだぜ?」
キリトは、肩に刺さっているその大鎌の刃を持ち上げた。
そのHPは……注意域から危険域にまで落ち込んではいたものの、まだ確かに残っていた。
あの決死の一撃で、キリトは残り多くないHPを全損させていなかったのだ。
「お前のさっきの一撃……俺の体に当たる直前に、勢いを殺したな。刃を止めてなかったら、今頃俺はHPを全損していたどころか、肩から体が真っ二つになって当然だった。お前こそ……どうして俺を殺さなかったんだ?」
刃を戻されたユミルは唇を震わせながら顔を伏せ、何も答えなかった。
「いや……言い方を間違えたな。俺は……どうしてお前が俺を殺せなかったか、知っている」
「ッ!?」
それを聞いたユミルが体を震わせ、
「言うなっ!!」
続いて大声を上げた。
ユミルはキリトになにかを悟られ、明らかに狼狽した。
「なぜ、お前が俺を殺せないか――」
「言うな言うな言うな言うな言うなっっ!!」
ユミルは顔を伏せたまま、嫌々と駄々をこ
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