46:救ってみせろよ
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……つぐ、なう……?」
「ああ、そうだ」
しっかりと頷いてみせる。
「でも、ボクはッ……マーブルを裏切った! こんなボクを、きっとマーブルは許してくれはしないっ……!」
「だいじょうぶだ」
はっきりと言葉を紡ぐ。もう、あの狂った怒号で俺の言葉を聞き逃さないように。
「人は、たった一度裏切られたくらいで……簡単に人を嫌いにはなれないよ。それは俺も、お前だってそうだっただろう? ルビーを助ける為に、お前は何度も人を信じようとしてきたはずだ。……そしてそれはきっと、マーブルさんだって同じはずだ」
「…………でも、そんな保障なんてっ、無いっ……!」
「信じろ」
不安と不信に揺れるこの子を、傍で支えるように。俺はすぐさま言葉を添える。
「マーブルさんは、きっとお前を許してくれる。そう、信じるんだ。……それともお前は、マーブルさんはその程度の想いで今までお前に接していたと思ってたのか?」
「…………〜〜ッ……」
それにユミルは答えない。目を潤ませて、唇を震えさせて、返答を戸惑い拒んでいた。
「俺は、そうは思わない」
言葉はなくとも、きっと……もう既にその胸の内にあるであろうユミルの答えを、代わりに俺が言う。
「こんな荒んだ仮想世界で、人があんな風に笑って、ずっと赤の他人の傍に居続けられるなんて情景を、俺は……初めて見た」
デスゲームと化したこの世界を構成する俺たちプレイヤーの取り巻く感情は、悲しいが疑心暗鬼に塗り固まれた虚構のものがほとんどだった。……それは、当然といえば当然と言える。己の肉体ではなく、ポリゴンで形成されたアバターを被り。デジタル変換された声を吐き。それと同じ境遇の相手の言葉という情報が、耳ではなく脳に直接信号に変換されて送り込まれていく。アバターから読み取れる表情の機微は乏しく、それは疑いの芽になり心の中に根付いていく。そんな歪んだ仕組みの世界を、疑うなという方が土台無理な世界だ。
……そんな中。
プレイヤーのほとんど居ない階層の、寂れた過疎村の中にある、とある一軒の宿屋で見つけた……小さな温もり。
そこにいたのは、一人の無愛想な子供を我が子のように想う、一人の女性プレイヤー。
それを見、感じた俺は……内心では正直、それはそれは驚いていた。
いつも笑って、どこか心意を読み取れない人ではあったが……その裏では、彼女はいつもユミルを想っていた。
彼を守るべく死神を追い続け……例えその犯人がユミルであったとしても、倒れる最後まで彼の為に力を尽くし。
そして、かつての……自分の膝の上で眠るユミルを見下ろしていた、本当に幸せそうな微笑み。
「……だから、俺は確信を持ってお前に言える」
そこには、こんな世界では見
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