46:救ってみせろよ
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ねる子供のように激しく横に振りながら叫び、キリトの声を遮る。
だがキリトは構わず、よく通るその声で続きを言った。
「それは、お前が――――――こんなにも……心優しいからだ」
その言葉と同時に。
ユミルの手から大鎌が滑り落ち、それはガシャンと重い音を立てて刃を地に横たえた。
「…………あ、あぁっ……」
そして……言われてしまった、と言わんばかりに崩れるようにその場で泣き始めた。
その顔に嵌められた……『狂乱の仮面』すらも、剥げ落ちていく。
「お前は、最早自分でもどうしようもない位に暴走する自分を……俺に殺されてでも、止めたかった。……違うか?」
「……ちが、違うぅっ……」
押し潰れた声で、尚もユミルは首を横に振り続けて否定する。
しかし、そのような仕草では、それは逆に……
「さっき、俺は言ったろ? 『やっぱり《お前には》無理だったな』ってな。お前は……どんなに人を憎もうとも、どんなに狂おうとも、どんなに壊れようとも……お前に人は殺せないよ。それは……ユミルという人間は、こんなにも優しいんだからな……。その証拠に、お前はこれまでにたくさんの人を傷つけても、誰一人として殺しちゃいない。……殺せなかったんだ」
「どう、してっ……」
「どうして俺もお前にトドメを刺さなかったのか、か?」
キリトがユミルの言葉を上書きする形で引き継ぐ。
「……正直、俺もついさっきまでは……それでもお前を楽にしてやろうと、本当にトドメを刺すつもりだった……。だけどな」
この時……キリトはチラリと一瞬だけ、何も無い森の奥を見た。
なに……?
わたしがそう口開く前に、キリトは続きの句を口ずさんでいた。
「俺はその直前になって……そんな今のお前なら救ってやれることが分かったから、攻撃を止めたんだ」
「な……」
それを聞いて驚いたのはユミルだ。
一瞬だけ目を見開くも……
「救う……? こんなボクを、救うだって……?」
涙を拭うこともせず、声を沸騰させながら肩も怒らせ始める。
それに微塵も臆さずにキリトは言葉を返す。
「ああ。今の俺は、お前を、たった一言で……救ってやれる」
その不遜な一言に、気が触れたかのようにユミルがガバッと顔を上げた。
「ふ、ふざけ――」
「―――――ふざけてなんかない。……俺は、お前を救ってやれる」
言い聞かせるように、あくまで真剣に、キリトは言の葉を区切りながらゆっくりと繰り返す。
「……………………だったら……!!」
肩を怒らせたまま、ユミルは再度顔を
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