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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
死への恐怖
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!」
驚きで目を見開くマイの顔から目を逸らし、レンはきびすを返す。
───いらない───
「偵察隊が、全滅………ッ!!?」
約六ヶ月ぶりにアインクラッド第六十一層主街区【ミンヘイ】の《尖白塔》に登ったレンを待っていたのは、衝撃的な知らせだった。
かつてレンも同席し、熱い意見を出し合ったあの円形の会議室である。
部屋の形と全く同じまん丸の机の周りには、ヴォルティス卿の肉食獣じみた威圧感を放つ巨躯、ヒースクリフの賢者然としたローブ姿、シゲさんのひょろりとした体躯とチャームポイントでもある巨大鍋、テオドラのチョコレート色で形作られたしなやかだが強靭な体、ユウキの紫のブレストアーマーに包まれた小柄な体。
レンが同席していた頃と比べて一つだけ違うのは、レンのもといた第三席に深々と座り込む、黒尽くめの人影。キリト。
後ろにはなぜか、【血盟騎士団】所属のアスナもいた。こないだあったときは思い出さなかったが、この二人新婚さんなのであった。
レンと同じく、休暇扱いのこの二人をも呼び出すとは、いよいよ持って尋常ではない事態のようだ。
ヒースクリフは顔の前で骨ばった両手を組み合わせ、眉間に深いしわを刻んでゆっくり頷いた。
「昨日のことだ。七十五層迷宮区のマッピング自体は、時間は掛かったが何とか犠牲者を出さずに終了した。だが、ボス戦はかなりの苦戦が予想された………」
それはレンも考えないではなかった。
なぜなら、今まで攻略してきた無数のフロアのうち、苦々しい思い出の二十五層と五十層のボスモンスターだけは抜きん出た巨体と戦闘力を誇り、どちらの攻略においても多大な犠牲者が出たからである。
思い出したくもないが、二十五層の双頭巨人型ボスモンスターには、結果的に軍の精鋭がほぼ全滅させられて現在の弱体化を招く原因となったし、五十層では金属製の仏像めいた多腕型ボスの猛攻に怯み、勝手に緊急脱出するものが続出して戦線が一時崩壊、援護の部隊がもう少し遅れていたら全滅したかもしれない。
その間、その戦線を一人で支えたのがヒースクリフで、その援護部隊の到着を待たずにボスを倒したのが目の前にいる筋肉漢なのだが。
クォーターポイントごとに強力なボスが用意されているならば、七十五層も同様である可能性は高かった。
「そこで我々は、攻略ギルド合同のパーティー二十人を偵察隊として送り込んだのだ」
ヴォルティス卿が、重々しい声で言う。白銀の短髪の向こうに光る黄金の瞳からは何も読み取れない。
「偵察は慎重を期して行われた。十人が後衛としてボス部屋入口で待機し………最初の十人が部屋の中央に到着し、ボスが出現した瞬間、入口の扉が閉ざされたのだ」
ヴォルティス卿の説明を、
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