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ヴァレンタインから一週間
第15話 これは、俺の戦い
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界が終わっていたとしても何の不思議も無い事件だと、俺は、俺の師匠に聞かされて居ますから。

「向こうの世界。貴方が生まれた世界には、帰りたいとは思わないのですか?」

 それまでと変わらない、非常に穏やかな雰囲気で和田さんは聞いて来た。まぁ、彼が聞きたい事は判りますよ。

 基本的に彼ら……いや、俺も含めて、彼らは自己を犠牲にして、他の大勢を救う、と言う行為は嫌います。
 そう。そこに、思考停止が起こり得る事を嫌うと言う事です。
 これは最後まで諦めずに、自分と仲間が生き延びる術を探せ、と言う事。

 先ほどの俺の言葉は、明らかに、俺の生命を持って、他の圧倒的多数の人間を救おうとする行為。普通に考えると英雄的行為と映らなくもないですが、思考停止した挙句に、楽な方向に流れた結果とも考えられる内容です。
 まして、その最後の決戦の場に、俺以外の他に誰も連れて行かないのなら、俺が安易な結末を求める可能性も高く成ると言う事ですから。

 相討ちと言うのは、暗殺者が狙う、もっとも簡単な、そして確実な方法ですから。

「そもそも準備期間が一週間ほど有ります。まして、晴明桔梗結界が真面に機能してくれたら早々失敗するとも思えません」

 それに、最悪の結果と成ったとしても、俺には向こうの世界には、家族と呼べるのは仙術の師匠以外に存在しては居ませんから。
 そして、おそらく最終的には、俺は一人でラゴウ星を相手にする、と言う選択肢を選んでいる事はないと思いますから。

 暫しの沈黙。しかし、その沈黙を破るべく、小さな声がゆっくりと探偵事務所内に響いた。

「わたしが手伝う」


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