第15話 これは、俺の戦い
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ても、高いハードルで有るのは間違いないな。
まして、今回の事態は、おそらく、三年前に邪神に因って変えられた歴史に対する揺り戻し。
今回の事件の結果に因っては、再び、過去が書き換えられるか、それとも、この流れが続くかの試しが為されて居るのでしょう。
「貴方一人では無理ですよ」
それまで黙って、俺の話を聞いていた水晶宮の長史がそう言った。そして、
「私が二柱の邪神の仙骨と琵琶骨を封じましょう。貴方は、その為の時間を稼いで貰えたら充分ですよ」
非常に強力な人物の申し出。住む世界……、生まれた世界が違う。しかし、彼らは間違いなく仲間。同じ、龍の血を引く存在だと思わせるに十分な言葉だったと思います。
但し、
「有り難い申し出ですけど、和田さんにはお願いしたい事が有ります」
その申し出をあっさりと断って仕舞う俺。
矢張り、彼の申し出は断るべきでしょう。何故ならば、二人とも、間違いなく最悪のシナリオを想定して動く人間のはずですから。
「もし、私の企てが失敗する。もしくは時間内に終わらせる事が出来ない場合は、最後の点穴は私が、私の一命を持って打ちます」
俺は、其処まで言ってから、一度言葉を止めた。そして、有希と和田さん。更に、神代万結と名乗った少女を順番に見つめた。
和田さんと万結は何も言わない。有希は……何も言い出せない。
「最後に、和田さん。貴方の『異界送り』で、私ごと、ラゴウ星を異世界……虚数空間へと封じて下さい」
その為の……異世界へのゲートの為の晴明桔梗でも有りますから。
もっとも、晴明桔梗を使用する、と言った瞬間から、この次善の策についても、有希以外のこの場に存在する人間ならば気付いていたでしょう。
晴明桔梗印とは、そう言う使用方法も存在しますから。
「では、私以外の仲間に行って貰いましょう」
和田さんが俺にそう言ってくれました。その瞬間、俺の正面に座る、万結が微かに首肯いた。
確かに彼の言葉は正論です。それに、その方が俺の策も成功しやすいでしょう。
ただ、
「こんな危険な、更に成功率の低い作戦に、水晶宮の仲間を巻き込む事は出来ません」
俺は少しの笑みを浮かべ、そして、自らの右側に座る有希を意識しながら、かなり強い覚悟でそう言った。
何故ならば、最終的にどうなるか判らないのですが、異界化した空間に誰か一人だけ連れて行けるとしたら、それは彼女以外に考えられないのですから。
あの伝承に記述されていたのは、ラゴウ星の元に辿り着けたのは、八百比丘尼と一目連だけ。つまり、この世界では長門有希と俺の二人と成る公算が大きい。
もっとも、こんな事を有希の前で言う訳には行きません。有希には、彼女の言葉で、俺を説得して貰う必要
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