第15話 これは、俺の戦い
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かし、今回の事件は確かに規模が違う。ハルヒが異界化現象を引き起こしたとしても、所詮は、覚醒前の存在。邪神に因り植え付けられた黒き豊穣の女神の持つ神性。神々の母……新たなる世界の母体と成る神性が、多少、漏れ出したに過ぎない現象だったのでしょう。
今回のラゴウ星とは、世界に破壊をもたらす存在。こいつが顕われたら、間違いなく世界の半分は吹っ飛ぶと言う非常に剣呑な存在で有る以上、不干渉の立場を取り続ける事は有りません。
まして、その事件に巻き込まれているのが異世界出身とは言え、自らの身内。同じ龍種の俺だったのですから、彼ら水晶宮の住人が出張って来る事は不思議でも何でも有りませんか。
但し……。
【長史。それでは俺の方は未だしも、有希に刻まれたルーン文字が、彼女を害する危険が有ります】
これは、出来る事ならば、有希には聞かせたくない台詞ですから、【指向性の念話】にて目の前の青年に送る俺。表面上、及び、口調は出来るだけ冷静な雰囲気を維持しながら。
そして、更に続けて、
【私の見つけたこの西宮の地に伝えられる伝承に因ると、ラゴウ星が以前に顕われた時は、八百比丘尼と一目連に因って退治されたと有ります。この伝承通りの出来事が起きつつ有るのなら、俺と有希が事件に対処しなければ……】
最悪、ラゴウ星を封じる事に失敗する可能性も有ると思うのですが……。
古からの伝承には、それ自体に、語り継がれて来たと言う魔力が籠められて居ます。もし、それに逆らうのなら、その伝承に籠められた魔力以上の絶対の力で対処しなければ、成功する企ても失敗する事と成ります。
まして、有希が消えるような結果となるのなら、それは俺に取っては、現状ではラゴウ星封印に失敗したのと等価ですから。
俺を見つめていた水晶宮の長史が、少し人の悪い、と表現すべき笑みを見せ、
「ならば、忍くんの作戦と言う物を聞かせて貰いましょうか」
……と、問い掛けて来ました。
これは、間違いなく、俺が有希の事を一番気に掛けている事に気付かれたと言う事なのでしょうが。
それでも、話だけでも聞いて貰えるように成ったのですから、俺の目的は達せられて居るので、これは、これで良としましょうか。
尚、俺が彼女の身の安全が一番大切だ、と考えて居る少女は状況を理解しているか、どうかは判りませんが、彼女にしては珍しく緊張しているのは間違い有りません。
いや、同時に少しの陰の気を発して居るのも間違い有りませんか。
これは、もしかすると……。
「その前に、和田さんにお聞きしたいのですが、ラゴウ星が何故、急に復活するような事態に成ったのか、調査は終わって居るのでしょうか」
いや、彼女の発して居る陰の気は、今は無視すべきですか。
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