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ヴァレンタインから一週間
第15話 これは、俺の戦い
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 有希が思念体に対して疑念を抱いて居る?
 そもそも、自らの造物主に対して疑念を抱く被創造物と言う存在は、かなりの矛盾が存在していると思うのですが。

 そう考えながら、俺の右側に腰を下ろす少女の雰囲気を感じ、彼女の発する気を普段よりも正確に掴もうとする俺。
 ……………………。
 ………………。
 しかし、彼女が発する雰囲気は普段通り安定した物で有り、彼女が、本当に自らの造物主に対して疑念を抱きつつ有ったのか、それとも違うのかについては、はっきりと判るだけの情報を得る事は出来ませんでしたが。

 もっとも、それぐらい高度に人間の心が再現されているのか、それとも、長い時間を掛けて心が発生した、と言う可能性も有りますか。

 まして、そのどちらの答えだったにしても、彼女の未来に横たわる暗雲の意味が、何となく理解出来たようにも思いますしね。
 彼女に刻まれたルーンの意味は、今回のラゴウ星が接近しつつ有る事態が原因と言う訳では無く、その思念体に対して彼女が抱きつつ有る疑念の可能性の方が高いと言う事ですから。
 普通に考えるなら、造物主に反抗する被創造物を、造物主はそのまま放置する事は有りません。
 まして、有希の場合、その造物主からのエネルギー(霊気)の供給が無くなれば、生体を維持する事が出来なく成る仕組みのようですから。

 但し、未だこれは仮説のひとつに過ぎないのも事実。確実にそうだと決めつける訳には行かない以上、矢張りラゴウ星への対応は、最初に考えていた通り、俺と有希だけで行う方が良いとは思いますね。

 そうすれば、少なくとも、伝承通り八百比丘尼の属性を持つ有希主導の元、彼女と契約を交わした片目の龍神一目連の属性を持つ俺の二人でラゴウ星を封じる事に因って、彼女に刻まれたルーン文字と俺の瞳に現れた異常が改善されるかどうかが判りますから。
 思念体に関しては、その後に考えたとしても問題はないでしょう。
 一応、そう結論付ける俺。

 そうして、そのキョンと呼称される存在に関しては……。

 ウカツに触れると、何が顕われるか判らない相手だけに、異世界人の俺では対処が難しい相手で有る事だけは確かですか。
 その人物の正体が、名づけざられし者(ハスター)であろうが、門にして鍵(ヨグ=ソトース)であろうが、這い寄る混沌(ニャルラトテップ)の一顕現であろうが、彼がどの存在で有ったとしても、俺が一人で対処出来る存在では有りませんから。

 少し考え込んで仕舞った俺を見つめる和田亮と、そして、神代万結。
 良く判らない空白ですが、有希に対する彼らの質問はもう終了したと言う事なのでしょうか。
 それならば、

「和田さん。お願いが有ります」

 かなり抑えた様子で、そう言う台詞を口にする俺。確かに、少年風
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