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第八話 復讐の結末
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一部だけなのだ。

「しっかし、久しぶりだねぇ。前に会ったのは大体九ヶ月前くらいだったかな?」

警戒心を与えないように、穏やかに話しかけながら近づいていく。
問題ない。キースは俺――ジルが『赤い洗礼』だとは知らないはずだ。

そのとき、キースが一歩後ろに下がった。俺が訝しげな様子を見せると、彼は首を振って睨み付けてきた。

「いや、今はジルなのか。――俺を殺しに来やがったんだろ?」
「……へえ、俺が『赤い洗礼』だって気づいてたわけ?」

予想などの響きが一切ないキースの言葉に、俺はあっさりと正体を明かした。
当然、驚きはあった。しかし心のどこかではもしや、とも考えていた。
俺がフードを脱いで素顔を晒すとと、キースは暗い笑みを浮かべた。

「分かるに決まってんだろ。なんだかんだで仲間だったからな」
「――っ!」

キースの言葉に、俺は一瞬で全身の血液が沸騰した。しかしすぐに頭を冷やして、動き出しそうだった体を押さえつける。

「――いやさお前、自分がなにしたのか忘れてるわけ?」

余裕を装って笑みを浮かべるが、うまく表情を作れているだろうか。

「俺が言うのもなんだけど……お前、リサを――それにライドも殺してんだよ。それでよくも、俺の目の前で仲間なんてほざけたものだな……!」

最後で語調が強くなるのを押さえ切れなかった。



デスゲーム開始から一年が経った頃、親友だった一人のプレイヤーが死んだ。死因は完全決着デュエルにおける敗北。当時、圏内で殺人する手段として用いられていた『睡眠PK』によるものだと考えられた。
睡眠PKとは、寝ている相手の指を動かして完全決着デュエルを受諾させ、一方的に攻撃して殺すというものだ。

被害者の名前は、リサ。あの日、俺が見捨てる決断をした少女だった。

リサの死亡が発覚したときの心境は、今でも思い出すことができる。
悲しみと怒り、そして後悔の念に駆られた俺は、今思うとかなり危険で、短絡的な行動を取っていた。
リサが殺された三十二層、その階層で活動していたオレンジプレイヤーに対する無差別殺人。いや、最早あれは殺戮といってもいいだろう。鍛え上げたステータスと剣技にものを言わせ、自分よりも二十近くのレベル差があった彼らを、片っ端から殺した。

しかし、そんな日々も長くは続かなかった。

ある日、俺はポンチョを着た短剣使いに敗北した。
復讐のために、ただ感情だけで振るわれた俺の剣は、あの男――『ラフィン・コフィン』の首領、PoHに届かなかった。

これまで、一度も負けたことがなかった俺は挫折と敗北を知った。
リサの敵を討つという、唯一の贖罪を果たせなかった俺は、 すぐにでも死ぬつもりだった。

キースが、PoHとともに俺の前に現れなければ
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