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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第64話 そして、勇者の帰還へ・・・
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ないまで精神が安定するのはもうしばらく先の事だろう。

少女は、俺の言葉の意図が理解できなかったようだが、一緒に冒険することの不安を理解したのか。
「大丈夫です。今の私は勇者ですから」
少女は、口を膨らませて宣言すると、ステータスシートを俺に手渡す。

俺はステータスシートを受け取りながら、
「そうか」
とつぶやく。
俺は、「勇者が大魔王を倒す」と考えていたが、「大魔王を倒したから勇者になった」のかと認識を改める。
前者でも間違いは無いと思うが。

少女は、ステータスシートを手渡すと、どうだとばかりに胸を張った。
セレンとどっちがかわいいだろうなどと、どうでもいいことを考えながらステータスシートをながめると、俺は驚愕した。
「なにこれ?」



ゆうしゃロト
せいべつ:おんな
へこたれない
LV:1
ちから:11
すばやさ:8
たいりょく:9
かしこさ:7
うんのよさ:3
最大HP:18
最大MP:13
攻撃力:90
防御力:147
EX:0
ドラゴンキラー、やいばのよろい、力の盾、ミスリルヘルム


「・・・。レベル1なのですが」
俺は勇者に質問する。
「一度もモンスターを倒したことがありませんから」
「そうですか・・・」

聞いてみたら、3姉妹との冒険中はモンスターから逃げ回ってばかりで、死んだら戦闘終了後に、生き返らせてくれたと言うことだ。
「・・・」

彼女は勇者だ。
ほんとうの勇者だ。
力が強い?
強力な魔法が使える?
そんなことは、勇者にとって本当に必要なことではない。
真の勇者とは、最後まであきらめないことだ。
俺はそう確信した。

俺は黙ったままステータスシートを眺めていると、勇者は頭を下げる。
「ふつつかものですが、よろしくお願いします」

別の言い方があるだろうと、ソフィアに同意を求めようとしたら、ソフィアはこれまでに無いほどニヤニヤしていた。
どうやらこの場には、俺を助けてくれる存在はないようだった。
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