第64話 そして、勇者の帰還へ・・・
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者が旅立つ前日に見た夢のなかに出現したり、ゾーマ城へ行くための橋を造るために必要なアイテムの材料を持っていたりしたはずだ。
俺は勇者でもなければ、ゾーマ城に渡るために呪文を使ったりしたので、その妖精さんにはお目にかかったことはない。
少女は、目の前にある水を口に含ませてから、話を続ける。
「妖精から聞いた話では、彼女たちは大魔王を倒した恩返しとして、元の世界に帰りたいという願いが、かなえられたそうです」
「そうか」
俺は3姉妹の事を考えた。
彼女たちは、元の世界に帰りたかった。
そのためには、自分たちの手で大魔王を倒す必要があった。
しかし、勇者と一緒に行動する俺達が邪魔になった。
そのために、勇者を誘拐したのだと。
3姉妹には、俺に相談する選択肢は無かっただろう。
元の世界に変える方法を知れば、俺が帰ることを選ぶため、3姉妹と共同戦線を取ることはないと考えたのだろう。
俺は納得できないが、3姉妹の目的がわかった。
「ところで、何を願ったのかな?」
俺は目の前の少女に質問した。
戦闘中死んでいたとはいえ、彼女も大魔王を倒したメンバーの1人だ。
精霊ルビスから恩返しをしてもらったはずである。
「・・・」
勇者は俯いたまましゃべらない。
「すまない。答えたくなければ言わなくていいよ」
3姉妹の話が済んだので、聞かなくても困らない。
少女は首を振ると、決心したようすで話し始めた。
「・・・。アリアハンに戻りたいと願いました」
「そうか」
俺はうなずいた。
父オルテガは死んだが、母親が生きている。
母親に父の最後を報告する必要があったのだろう。
ソフィアの顔を見ると、俺と少女の顔を見比べながらにやにやしている。
嬉しいことでもあったのか。
俺は、少女に最後の質問をする。
「これから、どうする」
「!」
少女は俺の質問に驚いた。
俺は別に変な質問でもないのだが、と思ったのだが彼女にとっては重要な話のようだった。
「・・・。あ、アーベルさん」
少女は、真剣なまなざしで俺に話しかける
「私と、私と一緒になってください!」
少女は顔を真っ赤にして大声で叫んだ。
「構わないけど、大丈夫なのか」
俺は、心配そうに少女を見つめる。
少女は、勇者の代役として旅に出たはずだ。
だが、彼女は勇者ではない。
俺達と一緒に冒険しても成長しなければ、旅はつらいものになる。
両方にとって。
「何か職業につかないと、俺達と一緒に冒険するのはつらいと思うよ」
俺は、しばらくは冒険を続けるつもりだった。
家にこもって、魔法研究に明け暮れることも考えたが、1人でいるとロイズを死なせた後悔が、すぐに浮かんでしまうのだ。
俺は死ぬまで忘れるつもりはないが、日常生活に支障がで
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