第64話 そして、勇者の帰還へ・・・
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実は、奪われた船の場所だが、既に見当はついている。
3姉妹が船を強奪した目的は、船よりも遙かに便利な不死鳥ラーミアを入手することだった。
ラーミアを手に入れた3姉妹は、船をどうしたか?
そのままにしたに違いない。
船が破壊された可能性も皆無とはいえないが、ロマリア沖に一度船を乗り捨てた実績もある。
あとは、目の前の勇者に最終確認するだけだ。
奪還した後の船をどうするか。
そのことが、俺を海軍司令官に任命した理由になっている。
俺が船を取り戻したときに、これまでのロマリア海軍司令官の役職だけだと、船をアリアハンに返還する前にロマリアの意向を反映する必要がある。
発見と、返還の礼として、なにか要求される可能性もある。
そこで、俺にアリアハン海軍司令官の役職を与えて、船の奪還作業はアリアハンが行ったことにするというのが、理由だ。
それでも、苦しい言い訳だが有って困るものでもない。
というのが、アリアハンの判断だ。
というわけで、ソフィアは俺が海軍司令官の役職を得るように働きかけて、認められた。
「というか、任命されたのはいつの話しだ?」
俺は、ソフィアに確認する。
「船が奪われた翌日よ」
「知らなかった」
「そんなことを気にする余裕は、なかったからね」
ソフィアの言葉に俺は頷く。
「そうだね・・・」
「・・・すいません。私が非力なばかりに、皆さんにご迷惑をおかけして」
「気にするな・・・」
「いいのよ、気にしなくても・・・」
「・・・。え?」
「え?」
俺とソフィアは、お互いに顔を見合わせている。
目の前にいる勇者がしゃべっている。
俺が知っている勇者はしゃべれなかった。
正確に言えば、俺が昔に開発した呪文「しゃべりだす」(仮称)を作成したときに、しゃべることができるようになった。
だが、しゃべることが出来る内容はあらかじめ、勇者が心に深く刻んだ言葉だけであり、しゃべる声も、俺の声しか、覚えさせていない。
そして、勇者がしゃべった言葉は、俺の声ではなかった。
というよりも、
「女だったのか?」
勇者は、少しすねた感じでうなずいた。
「・・・。母には、ゆうかんなおとこのこのように育てられましたから」
「アーベル、知らなかったの?」
ソフィアから追及の視線を受ける。
ソフィアも知らなかったようだ。
だからソフィアは、俺に誤った情報を与えたのではなくて、誤った情報を信じて俺に提供したようだ。
アリアハンの機密情報の管理は、非常に徹底している。
「勇者は実は女である」と言う情報を隠すことに、意味があるかどうかは不明だが。
「初めて知りました」
「あら、そうなの」
ソフィアはニヤニヤ笑っていた。
たぶん、ジンクの話をテルル達から聞いたこと
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