第12話
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この撫でかたに暖かい掌。間違いない!悠斗兄様だ!」
「おっと?クリスは相変わらずやんちゃだな」
「本物だ。本物の悠斗兄様だ!もう、会えないと思っていたのに!いつ、ドイツに来たのですか?」
お嬢様が悠斗に抱き付く。悠斗は抱き付いてきたお嬢様を優しく受け止めて、頭を撫でる。
お嬢様は眼をキラキラと光らせて悠斗との再開を楽しんでいる。
「うむ。やはり、悠斗君ならクリスを嫁にやれるな。なんなら、マルギッテ准尉も一緒に嫁にもらわないかね?」
「いきなり、何を言ってるんですか!フランク中将!マルギッテやクリスの意思を尊重してあげてください」
「え?私とマルさんを、悠斗兄様のお嫁さんにしてくれるのですか?」
「おいおい。クリスや。フランク中将の言うことを、何でも鵜呑みにしてはいけませんよ。もっと、自分を大切にしなさい」
悠斗がお嬢様を窘める。 お嬢様はしゅんとする。
(わ、私が悠斗のお嫁さんになるのですか!!
う、嬉しいですね。悠斗なら私は全然問題ありませんし)
かつて共に戦場を駆け抜けて来た悠斗は、男勝りの私を中将を除けば、唯一女性扱いしてくれた男性だ。どんなときも、私に対する気遣いをしてくれた。
(思えば、私が悠斗を好きになったのはかつて、敵に捕まった時に助け出してもらった時ですね)
私はあの時の事を思い出す。あれは、悠斗と戦場を共にしていた頃の話だ。南米でのある作戦において、私は部下を率いて斥候に出ていた。
その時、不意をつかれ敵の本隊と交戦状態に突入してしまったのだ。
4名の部下と共になんとか、逃げようとするが敵は100人を越えていたため、私達は逃げ切る事が出来ずに囲まれてしまったのだ。
私達全員は電流が流れるネットが投擲され、全員が触れてしまい気絶して捕虜になってしまったのだ。
(今思えば迂闊でしたね。電流が流れるネットをただの捕獲ネットと、勘違いしたのが最大のミスでしたから)
捕獲になった私が気が付いたのは薄暗い地下室の柱に手錠をされて動けない状態でした。部下も私と同じような状態で捕まっていました。
すると、数人の男達が私達に近寄って来て拷問をしてきました。
私は口を割らないようにひたすら拷問に耐えていると、一人の男がナイフで私の軍服の上着を正面から切り裂いたため、私の肌が露出させられました。
(生理的に受け付けないグズどもは、思い出すだけで虫酸が走ります)
まさかに男達が私に乱暴しようとしたときでした。私達が閉じ込められている地下室の壁をぶち破って、悠斗が助けに来てくれたのです。
悠斗は素早く敵兵を殺害すると、私達に付けられていた手錠を破壊して開放してくれました。
悠斗は軍服の上着を脱いで私に手渡してくれたのです。理由を尋ねると、「マルギッテ
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