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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第52話 そして、勇者の旅立ちへ・・・
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いして俺に声をかけるからだ。
ただ、悪戯の代償は大きかった。


「こうして、一緒に歩くのも久しぶりだな」
「そうですね」
俺は、子どもの時は勉強に明け暮れ、冒険者になってからも旅に明け暮れていた。
「ところで、アーベル?」
「なんですか」
「結婚はまだしないのか?」
「冒険が終わらないと」
「そうか」
「早く、孫の顔を見せろよ」
「気が早いです」
「そうだな。俺もまだ若い。孫の顔を見る前に死ぬことはないだろう」
ロイズはからから笑って答える。
「・・・。大丈夫です。絶対に大丈夫です」
「なんだ、アーベル。既に子どもでもいるのか?」
ロイズにからかわれた俺は、先に走って家路に急いだ。


絶対に、絶対に、大魔王を倒すと決意しながら。



「まだかな」
「まだですねぇ」
「まだだな」
セレンとテルルと俺は、ルイーダの酒場で話をしていた。
朝から、酒場に集まって勇者が来るのを待っていたのだが、昼前になっても、姿を現さなかった。

最初は、冒険の進め方について、ああでもない、こうでもないと話をしていたが、3ループ目に入るとさすがに疲れて、誰もしゃべらなくなった。
酒が入れば、少しは場が持つかもしれなかった。

だが、俺は酒を飲まないし、セレンやテルルも朝から酒を飲む事はしなかった。
いくらアリアハンにいるモンスターが弱いからといっても、足をふらつかせながら冒険に出るのは、遊び人だけで十分だ。
だいいち今の俺達には、周囲からの注目が集まっていたので、下手なことはできない。

1人は、前のロマリア王で魔王を倒した魔法使い。
1人は、アリアハンの経済を牛耳る、キセノン商会の一人娘。
1人は、有名な冒険者の娘でかわいらしい僧侶。
この3人はもうすぐ、勇者と一緒に旅立つのだ。
注目を浴びないはずがない。

事前に俺達は、勇者から一緒に冒険することの了解をもらっていた。
いくら、国王からの要請とはいえ、一緒に戦う仲間を選ぶのは勇者である。
きちんと勇者がルイーダの酒場等の、冒険者ギルドでパーティの登録をしない限り、一緒に冒険ができないのだ。

勇者は、初めて会ったとき以降、何故か俺になついていた。
俺は、最初のころは勇者の事を恐れていたが、俺にだけ特別に尊敬のまなざしを示すのを感じてから、恐れるのをやめた。
今では、勇者を弟のようにかわいがっていた。
ただ、セレンとテルルは俺が勇者をかわいがるのをあまり喜んではいなかった。

特に俺が、ロマリア王の時に行った演説の話を勇者の前でしたときは、勇者が顔を真っ赤にしてうつむいたので、
「どうした、大丈夫か?」
と、質問すると
セレンとテルルが2人でひそひそ話をして、10日ほど不機嫌な顔をしていた。

どうやら、

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