第49話 そして、説得へ・・・(2)
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が質問したのは、防諜対策のことだ。
俺は気楽に話しかける。
「実は先日、ロマリア王宮に俺の技を探る動きがありました」
「そうか」
「今日は、キメラの翼を理由にここに来ましたが、本当の理由は、そちらに問題がないか確認するために来ました」
現在のところ、魔法の玉の効力を知っているのは、俺のパーティ(タンタルを除く)以外は、ロマリア王国ではジンクだけであり、アリアハン王国では、キセノンと俺の母親ソフィア、そして発明者だけである。
誰もが情報の漏洩について、危機意識を持っているため、問題はないはずだが、確認が必要である。
普通であれば、俺とキセノンとの直接の会話は危険だが、もともと俺がキセノン商会に入り浸っているから普通に話せば問題ないのだ。
「念のため、確認しますが、ハリスさんは大丈夫ですか」
俺は、先ほどの青年のことをたずねた。
「今のところ、問題ない」
「そうですか」
「キセノン商会を任せるだけの才能を持っていると考えている」
「すごいですね」
俺は驚嘆の声をあげる。
俺が知る限り、キセノンが絶賛した人間は、俺の母親ソフィアしか知らない。
「お前さんほどではないかもしれないがね」
キセノンは、意地悪そうな顔をする。
「買いかぶりすぎですよ」
「君が、セレンと結婚したことを想定して、育てているのだよ」
「まだ、結婚なんて考えていませんよ」
少なくても、冒険が終わるまでは結婚はするつもりはない。
「だったら、うちの娘と婚約してくれないか」
「結婚と、違いがあるのですか?」
婚約するつもりはないが、念のため質問する。
「ハリスの扱いをどうするか、彼にも話す必要がある」
「彼もそれなりの年だ。それに、エレンズという付き合っている相手もいる」
エレンズはキセノン商会の経営部門に在籍しているという。
俺よりも年上で、養成所で何度か顔を合わせたことがあった。
才気があり、勝ち気な性格のため、年上に対して少し生意気なところがあったが、俺達後輩に対しては優しかった。
「無理にあきらめさせるのですか」
「結婚さえしなければ、文句はいわない」
ハリスのつきあっている相手、エレンズを妾にするということか。
テルルは納得するのだろうか?
「なんだ。まだ、聞いていないのか」
「なんのことですか?」
「テルルに旅に出る条件として、俺の認めた相手と結婚することを約束したのだ」
「・・・。初耳です」
テルルと父親であるキセノンとの間に、そのような約束がかわされていることを初めて知った。
テルルは長い旅の間、話す機会は多かったはずだ。
それなのに、一度も話題に出なかった。
いや、思い当たる節がある。
旅に出て二日目の事だ。
ナジミの塔での戦いであまり動きが良くなかった事を話した後で、
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