第32話 だって、友達なんだから
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れた。
だったら、それからもっと時間がたって”友達”になった今ならもっと。人とは違うって事で悩んでいたすずかちゃんや、一緒に受け入れてくれたアリサちゃんなら、絶対に純吾君の事怖いって思ったりしないよ!!」
えっへんと自信満々に胸を張るなのはに、純吾ははじめ呆れ、そして段々と、お腹のそこから嬉しさやらおかしさやら、自分でもよく分からない気持ちが昇ってくるのを感じた。その感情の衝動を抑えきれず、小さくくすくすと笑う。
「あーっ、人が心配してあげてるのに笑うってどういう事なのっ!」
さっきまでの大人ぶった態度を一変させ、両手をぶんぶんと駄々っ子のように振り回して、体全体で不満を表現するなのは。そんな彼女に、純吾もくすくす笑いから身体を震わせて笑うようになる。
「もうっ! 本当に純吾君って…にゃっ!」
「ん…、ごめんね。でも……ふふっ」
わしゃわしゃと乱雑になのはの頭を撫でながら、純吾はもう一度押さえきれないといった風に微笑む。
実際の所、純吾はおかしくてたまらなかった。自分はなんと見当違いな事で悩んでいたんだろうと、その事がおかしくて仕方が無かったのだ。
自分の悩んでいた事は、もうすでに、すずかが通ってきた道だった。この世界に来てから、いつも一緒に過ごしてきたであろう少女がだ!
それなのに自分は、勝手に問題を自己完結したあげく、最も頼りになるであろう人達から勝手に逃げ出していたのだ。一緒に頑張ろうと、あの時約束をした人達から、それが、たまらなく可笑しかった。
そしてだからこそ、自分の悩みをこんな簡単に打ち破ってくれた少女には感謝してもしきれないとも思った。
自分の方が長く生きていて、巻き込まれてしまったこの子を守ろうと勝手に決心していたが、どうやらそれは検討外れ。彼女は環境や人に強制されて戦う事を決意したのではなく、自分で物事を見て考え、心の底から湧き上がる、純粋な自分の意思によって決意をしていたのだった。
だからこそ、このうだうだと悩んでいた自分を、そのまっすぐな心と行動力であっさりと踏破し尽くした目の前の少女の頭を撫でる。
感謝と、今まで見誤っていた事への謝罪と、そしておうた子に教えられた恥ずかしさを込めてそうしてみたのだが、けれどもどうやら、あまりお気に召さないようだった。
「もう、本当にいっつも勝手なんだから」
「ん…、ごめんね。でも、なのは」
拗ねたように怒るなのはに向かって純吾は素直に頭を下げる。
「それと、」そういって顔をあげ、
「…ありがとう、なのは」
もう一度、精一杯の笑顔と、感謝の気持ちと一緒に頭を下げた。
「うん…、じゃあ、これからどうするかも決心できたことだし、帰ろっ
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