第32話 だって、友達なんだから
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たなのはという局地的ハリケーンをやり過ごすには、もはやこうするしかない。
そんな純吾がしっかりと反省している様を見て多少溜飲が下がったのか、若干落ち着いた様子のなのはがむんと胸の前でうでを組む。
「まったく、私に怪我してほしくないって事はすっごい嬉しかったけど。私達にしてみれば、純吾君にも怪我してほしくないし、もっと私の事だって信用してほしいの。
そこのところ、今度こそはしっかり覚えておいてね」
「…ぅん。約束、する」
最後の最後に言われたなのはの言葉。そこに、どれだけ彼女の思いが詰まっているのかを感じ取り、純吾は神妙に答えた。
もっとも、顔は真剣そのものだったのに、もぞもぞと腿の下にひいた足を動かしながらの返答でなんとも恰好のつかないものだったが。
そんな苦境を察したか、なのはは純吾へ手を伸ばして神社の階段へと座らせる。
「よっと。うん、それじゃあフェイトちゃんの事はあれでいいね」
話し合いを仕切りなおし、そう切り出すなのはに純吾は短く肯定の意を示した。もう、彼女の意思を曲げようとは思わない。気持ちを切り替え、次の話題に臨もうとする。
「そっか。じゃあもう一つの、純吾君の事を二人が怖がるんじゃないか、って事なんだけど――」
その言葉を聞いて、純吾の体がこわばる。それが何よりも、純吾にとって怖かったからだ。
手に汗握り、なのはの次の言葉を待つ。
「――絶対に、ないと思うよ」
「…え?」
「だって、そうでしょう? 私達、“友達”なんだもんっ」
予想外の言葉に、呆ける純吾。そこにたたみかける様に続くなのはの言葉に、更に混乱が広がる。すがるような視線で、純吾はなのはを見た。
「聞いたんだ、はじめて魔法に出会ったあの日の夜。純吾君と、すずかちゃんとアリサちゃんの事。その時、すずかちゃんの事、純吾君はどう思った? “月の一族”っていう、すずかちゃんの秘密を聞いて」
「…変わらない、すずかも、ジュンゴも、何も変わらないって思った。すずかも、ジュンゴも、人だって言った」
その時のことを思い出しながら純吾は答える。あの時、純吾は素直にそう思った。化け物が、悪魔が、どうして他人の為に自分を拒絶するようなことを言うだろうか?
つっかえつっかえそう答えた純吾に、なのはは満足げに頷く。
「それと一緒だよ、今の事も。私達だって、ほんのちょっと前まで考えられないような力を持って、信じられないような体験をしてる。それはその時のすずかちゃんと似ていると思わない?」
再度のなのはの問いかけに、純吾は首を縦に振った。
「でしょう! だったら、きっとすずかちゃんもアリサちゃんも分かってくれるよ! あの時、純吾君は事情もよく知らないすずかちゃんを受け入れてく
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