第32話 だって、友達なんだから
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至っていない純吾を見て、なのははもう
一度ため息をついた。
「ねぇ、純吾君が私の事心配してくれてるの、とても嬉しいよ。けど、私達もそうだって事、気づいてる?」
「…けど、なのはが危ないのは、ダメ」
なのはの言葉に、つまりながら純吾はそう返す。
結局は、純吾の思いはそこに行きつくのだ。以前の世界で見た人が傷つき、そして、死んでいくあの光景。今でも心に焼きつき離れることのないそれが、純吾の心にどうしても影を落とす。人が傷つくのは勿論、必要だとわかっていても、人と争い傷つける様な事をする事に対して忌避感を持ってしまう。
しかし、そんな純吾の思いは、あっさりと吹っ飛ばされることになる。ずっと不満を押さえていたなのはの堪忍袋の緒がブチっと、ついにキレてしまったのだ。
「もぉ〜っ! どうして純吾君はそう自分の事を大事にしないのっ! 純吾君、さっきからずっとフェイトちゃんと争うの嫌だって言ってたよねっ」
ウキャーという奇声と共に、なのはは両手を駄々っ子のように振り回す。
「うん――」
「それにっ! フェイトちゃんを傷つけるのが嫌だって! 加減ができないって言ってるのは、純吾君の方なんだよっ」
「ん…、でも「でももへちまもないっ!」…はい」
どうにかなのはに言い返そうとする純吾だが、若干血走り始めたなのはの目に人睨みされるとすぐに言葉を引っ込めざるを得なかった。それにいつの間にか、階段を下りて石畳の上で正座をしてしまってもいる。
「だからっ! フェイトちゃんの事は、私に任せればいいのっ!! 私だって、あの子にすっごい言いたい事があるのっ!」
「なのはも?」
「うん。あの子の目、とても優しい目だったのに、それと一緒に寂しそうだって思ったの。それがどうしてなのか、私は知りたい」
「……そっか」
純吾は、真剣ななのはの言葉に小さく頷く。それと同時に、自分の視野がいかに狭まっていたかを自覚させられた。
今まで自分がフェイトとどう向かい合っているかしか見えていなかったのだ。あの時、彼女を見て感じた事、それを感じ取れるのは自分しか分からないのではいか、と。
だが、そんな事はなかった。純吾の隣で戦っているなのはが、何も感じていないなんて事はなかったのだ。
目の前の少女の瞳の奥を覗き込む。自分の意思に依って戦いに赴こうとする強い光。それを見ると、自分の中にある、なのはを戦いから遠ざけようとする思いが薄れていくのを感じた。
「それに、いっちばん言いたかったんだけどっ! 純吾君だけが戦ってるんじゃないって事! ちゃんと覚えててよねっ! 分かった!?」
「……はぃ」
ダンダンと、激しく階段を踏み鳴らすなのはに、純吾は正座したまま神妙に頷いた。突然巻き起こっ
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