第32話 だって、友達なんだから
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らのことを決めなければならないのだ。
だからこそ、この景観をもう少し楽しみたかったが、うんと頷いて純吾に話しかけることとした。
「それで、ここに来たのって、フェイトちゃんの事、だよね?」
「そう、だね。……なのは」
純吾は少しだけ目を大きくしてなのはを見て、神社の軒先を指差す。なのははそれに「うん」と返し、軒下にある階段に腰掛けた。
「フェイトに会って…、分かった事、ある」
「うん」
下を向いてそう話し始める純吾の言葉を、なのははただ黙って聞く。なのはは、次に彼の口からその“分かった事”を聞かせてもらえると身構えてそうしていたのだが、彼の言葉は予想したそれと全く違った。
下を向いていた純吾が顔をあげ、小さく微笑んで言う。
「ここはいい街、だね」
「ふぇっ? あっと…、うん。海鳴市は、私の自慢の町なの」
「ん…、ジュンゴもそう思う。ここは、ホントにいいところ」
面食らいながらも答えたなのはの言葉に、一層笑みを深くした純吾。
「けどね…」
けれども、その直後に純吾の顔から笑みが消えた。
「はじめは、ここを守る、それだけ考えてればよかった。ジュエルシードを集める、それだけでよかった。
けど…」
そこで言葉を止め、純吾は眉をよせ、何度か手を開いては握るのを繰り返す。“それ”をいうのに多大な勇気がいることを、なのはは隣で見て感じ取った。
「……怖いって。この力が初めて怖いって思ったんだ」
そうして、絞り出すようにそう呟く。周りの、ざわざわとした木の葉の音にかきけされそうな声。躊躇いに躊躇いようやく言えたそれは、今まで彼を悩ませていたものだ。
「今まで、この街を守る、それだけでよかった。わき目も振らずに、没頭すればよかった。けど、あの子…、フェイトに会って、ジュンゴは怖くなった。
全力でぶつけたら、あの子を殺してしまうって」
独白を続けながら、純吾は右手を握る。その拳が微かに震えていたのをなのはは見た。
「フェイトと初めて会った時、頭が真っ白のまま力をぶつけた。次に会った時は、なんとか攻撃をせずに済んだ。でも、次はもしかしたらって思うと……」
震えたまま、純吾はゆっくりと握りこぶしをといて自分の頭へやった。それ以上言葉は続かず、神社特有の、静寂な雰囲気が包み込んだ。
「…じゃあ、純吾君はフェイトちゃんの事を諦めるの? 何か、とっても気になる事があったんでしょ?」
再び静寂を破ったのは、そんななのはの問いかけだった。何かを確認するかのようなそれに、純吾は抱え込んだ頭を振ってこたえる。
「んん…、でも、このままならフェイト、傷つける。それが怖い。もし、そうなったらって。もし………それで、皆から嫌われたら。ここ
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