暁 〜小説投稿サイト〜
なりたくないけどチートな勇者
4*まともな奴ほどバカを見る
[9/9]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
は…

「まぁ、いいですよ。」

効いた。
口調は冷静だが、顔がかなり焦っている。
してやったりと姫は思い、ほくそ笑んだ。

そして彼は言葉を続けて、

「じゃあ…、ななにか要望はないですか?」

といってきた。

「要望って、まるでできない事などないような口ぶりだな。」

「まぁ、出来る範囲では。」

「それはそうだろう。
ではなにができる?」

「基本的になんでもできます…」

押し問答である。
そこでゾーン爺が…

「なら君が1番得意な事をやってみてくれないかの。」

よくやった、ゾーン爺!
姫様は心のなかでゾーン爺を褒めたたえた。

そして言われた青年は

「…わかりました。」

少し考えた後に答えた。
そして、

「ディカポルク。」

巨大化した。
呪文と共に、天井に頭がつくくらいに巨大化したのだ。

「なななななななっ!なんだっ!これはっ!」

姫様の動揺しまくった声を聞いて、放心状態だった周りの隊長達が一斉に構えた。

すると、彼はすぐに元のサイズにもどって、両手を挙げ、敵意がないことを示した。

想定外、そして非常識にも程がある。

あれほどの術をたった一言の呪文だけで発動させるのもそうだが、なにより、どの属性に分類すればいいかわからない。
そもそも、巨大化する術なんて聞いたことが無い。
しかもこれが彼の”1番得意な事”なのである。

「…ゾー…」

ゾーン爺に何が起こったか聞こうと思ったが、肝心のゾーン爺。

腰を抜かしていた。

それを見たエリザ姫、爆笑。
さっきまで驚いていたとは思えない程に笑っている。
何たって、あの常に冷静沈着なゾーン爺が腰を抜かしているのだ。普段の彼からは絶対に想像できない姿である。

そして、彼女はしばらく呼吸ができないくらいに笑って腹筋がつった。

対するゾーン爺、普段の賢者のような威厳のカケラもなく、哀れにも尻餅をついている。

そして、落ち着いた所でエリザ姫が

「ヒィー、ヒィー、…ゼノア、判別器をもってきてくれ。」

苦しそうに1番隊長に命令を下した。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ