4*まともな奴ほどバカを見る
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は…
「まぁ、いいですよ。」
効いた。
口調は冷静だが、顔がかなり焦っている。
してやったりと姫は思い、ほくそ笑んだ。
そして彼は言葉を続けて、
「じゃあ…、ななにか要望はないですか?」
といってきた。
「要望って、まるでできない事などないような口ぶりだな。」
「まぁ、出来る範囲では。」
「それはそうだろう。
ではなにができる?」
「基本的になんでもできます…」
押し問答である。
そこでゾーン爺が…
「なら君が1番得意な事をやってみてくれないかの。」
よくやった、ゾーン爺!
姫様は心のなかでゾーン爺を褒めたたえた。
そして言われた青年は
「…わかりました。」
少し考えた後に答えた。
そして、
「ディカポルク。」
巨大化した。
呪文と共に、天井に頭がつくくらいに巨大化したのだ。
「なななななななっ!なんだっ!これはっ!」
姫様の動揺しまくった声を聞いて、放心状態だった周りの隊長達が一斉に構えた。
すると、彼はすぐに元のサイズにもどって、両手を挙げ、敵意がないことを示した。
想定外、そして非常識にも程がある。
あれほどの術をたった一言の呪文だけで発動させるのもそうだが、なにより、どの属性に分類すればいいかわからない。
そもそも、巨大化する術なんて聞いたことが無い。
しかもこれが彼の”1番得意な事”なのである。
「…ゾー…」
ゾーン爺に何が起こったか聞こうと思ったが、肝心のゾーン爺。
腰を抜かしていた。
それを見たエリザ姫、爆笑。
さっきまで驚いていたとは思えない程に笑っている。
何たって、あの常に冷静沈着なゾーン爺が腰を抜かしているのだ。普段の彼からは絶対に想像できない姿である。
そして、彼女はしばらく呼吸ができないくらいに笑って腹筋がつった。
対するゾーン爺、普段の賢者のような威厳のカケラもなく、哀れにも尻餅をついている。
そして、落ち着いた所でエリザ姫が
「ヒィー、ヒィー、…ゼノア、判別器をもってきてくれ。」
苦しそうに1番隊長に命令を下した。
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