3*パジャマの不審者
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そして、質問を続けた。
「…これは、本当に貴様がやったのか?」
「はい…、そうですけど…。」
嘘ではない、そう判断した。
そして核心をつく質問をした。
「どうやってやった。」
すると奴は
「能力を使いました。
自分の、能力を。」
当たり前である。
一人しかいないのに他人の能力を使える訳がない、というか、他人の能力を使う能力なんて存在しない。
そこで、ノアからあることを耳打ちされた。
「あの、隊長、実は現場に行く途中にもいくつか、それこそカームルのところ程ではないですが、同じような跡が残っていた所があったんですが、死体が何にも無かったんです。
なので私には彼がそんなに危険な者には感じられないんですけど…。」
だからどうした。
普通ならそういわれる言葉だが、今の彼にはとても重大な事な気がした。
何故なら彼は、焦っていたのだ。
カームルを一撃で粉砕する力をもつ者が、自分達の護るべき城、ひいては街へとむかっていたことに。
しかし、冷静に考えみると、ここからならあの街が1番近い。
砂漠を超えたなら、そこを目指して次の旅の準備をするのが道理。
荷物もなく服装や外見が奇怪だからといって旅人でないとはいいきれない。
いや、だからこそ旅人であるということなのだろう。
しかし解せないことがある。
「…何故だ。」
それが疑問となり自然と口からでた。
「何故カームルを殺した?」
そう、何故カームルだけ殺し、他の魔物は殺さなかったのか。
聞く限りでは、魔物に遭遇はしたのだろう。
しかし、カームル以外は殺さなかった。
それが不思議だった。
そして、奴は慌てて言った。
「いやっ、あの、襲われただけであって、他には何も殺してないってゆうか、やらなきゃやられるってゆうか…」
そこまできいてわかった。
そして、今1番聞きたい事を質問した。
「なら…
何故私達を倒そうとしない?」
しばしの沈黙。
「…それは…、どういう意味ですか?」
「自分の命を守るためにやったというなら、今此処で貴様は命の危機に直面している。
なのになぜ、貴様はあのカームルのように私達を消し炭にしない?」
そう、彼らはいま、この者に全方位から槍を向けているのだ。
カームルと正面からやり合うよりはマシかもしれないが、かなりのプレッシャーと危機感を感じるはずである。
しかし、彼は当然のように言った。
「…話せば、通じるかと思ったから。」
そう、話せばよかったのだ。
奴はカームルを倒す程の力をもつ、それだけの普通の青年なのだ。
言葉を使い、話し合える。
1番平和な、当たり前のこ
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