第二幕その十一
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第二幕その十一
「あの隙間を防ぐべきだ」
「もうないと言ったぞ」
また言うローゲだった。
「見ろ、実際にもう何もない」
「いや、まだある」
しかしファゾルトがこう主張するのだった。
「まだあるではないか」
「何処にあるというのだ!?」
ローゲは顔をこれでもかという程顰めさせて言い返した。
「そんなものが何処にだ?」
「それだ」
ファフナーがここで指差したものは。
ヴォータンの左手であった。見ればその薬指にそれがあった。
「その黄金の指輪だ。それで隙間を塞ぐのだ」
「この指輪をだと!?」
「そうだ、それをだ」
ファフナーは主張する。
「早く手渡してもらおう」
「さもなければフライアをわしにだ」
「おい、一つ言っておこう」
ローゲが前に一歩出て巨人達に告げてきた。
「この指輪は本来は御前達のものじゃない」
「では誰のものだというのだ?」
「ラインの乙女達のものだ」
それだというのである。
「彼女達に返されるものなのだ」
「誰によってだ?それは」
「ヴォータンによってだ」
わざと神々の主の名前を出してみせたのも計算によるものだ。
「だからだ。御前達に入る余地はないのだ」
「待て」
しかしここでそのヴォータンがローゲに対して言ってきたのだった。
「何時そんなことを言った?」
「何と!?」
「私が何時あの娘達に返すと言ったのだ」
ヴォータンはこう言うのであった。
「そんなことは言っていないぞ」
「いえ、それは」
「私が苦心して手に入れたこれは私が持っておく」
それが彼の考えだったのだ。
「だからだ。これは巨人達にも渡さぬしあの娘達にも渡さん」
「しかしそれではです」
ローゲはそれに対して主張するのだった。
「私が乙女達にした約束が」
「どうなるというのだ?それが」
「反故になってしまいます。それでは契約が」
「それは御前のことだ」
ヴォータンはすげなく彼に返すだけであった。
「私を拘束するものではない。この指輪はあくまで私のものだ」
「だが」
しかしここでファフナーがまた言ってきたのだった。
「フライアの身請けの為にそれを差し出すのだ」
「何でも言え」
だがヴォータンも引かない。
「御前達の欲しいものをな」
「何っ!?」
「何でも渡す」
彼はこう言うのだった。
「しかし指輪は渡さん。この指輪はな」
「では話はこれで終わりだ」
ファゾルトは今のヴォータンの言葉に苛立たしさを露わにさせて返した。
「フライアは連れて行くぞ。元の話通りにな」
「そんな・・・・・・」
それを聞いて蒼白になったのはまずはフライアだった。
「助からないの?私は」
「あなた、そんなことをしたら」
フリッカも妹と同じ顔にな
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