第1章 始まりの終わり
第1話 そして、転生へ・・・
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ます」
俺は、そういって市役所の庁舎を出る。
俺は、地方公務員だ。
だからといって、もてるわけでも無く、多くのカップルにとって重要イベントのひとつであるクリスマスも、俺には無縁のイベントではある。
無縁と言ったら語弊があるな。
俺がこれから行く先は、ある意味クリスマスと関係があるから。
などと自分の考えに浸っているうちに、道中に見知った後輩が視界にはいったので声をかける。
「お疲れさま」
「先輩、お疲れ様です」
10年後輩の女性は、俺の声に何故か嬉しそうな返事を返す。
10年後輩といっても、俺が高卒で彼女が大卒なので年齢の違いは6歳ではあるが。
それにしても、と俺は思う。
彼女もそういえば、独り身だったな。可愛いくて、性格もいいのに、もったいない。
5年前に彼女が採用されたとき、俺と同じ係に配属され、俺は1年間、後輩の指導をしていた。
後輩の指導といっても、担当業務は異なるので、主に役所独特の仕事のやり方についての説明ではあったが。
彼女の仕事の速さと正確さは、すぐに周囲に知るところとなり、敵を作らない性格も加わって、将来の幹部候補とささやかれるようになる。
俺は、翌年の異動で別の課に配属されたが、たまに会うと声を掛け合う程度の仲にはなっていた。
向かう方向は一緒なので、しばらく、世間話をしていると、
「先輩は、今日の予定はあるのですか?」
「残念ながらね。いつものことだが」
「・・・、ああ、あれですか」
彼女は、俺がこれから向かうイベントのことを知っていた。
「残念なら、行かなければいいのに」
「そうはいっても、他に予定はないし」
俺は、そっちはどうなのだ。と彼女に余計な一言をいってしまう。
「せ、先輩には関係ないです」
突然彼女は、怒り出す。
俺は驚いて、彼女の顔を見る。顔がかなり赤くなっている。寒さのせいだけでは無いはずだ。かなり怒らせてしまったようだ。
「すまん。確かに関係ないな」
「・・・、いいです、もう」
どうやら、さらに彼女を怒らせたようだ。
ただ、俺にはその理由がわからない。
俺に姉妹がいなかったことと、随分昔に付き合っていた相手がいたが、それも短期間だったたことから、あまり女性の気持ちがわからないのが原因と思っているのだが、どうだろう?
彼女は俺が黙っていると、意を決したように声を出す。
「先輩、失礼します」
「お、おい」
俺の制止を聞かずに、彼女は急に走り出した。
俺は大声で、彼女に忠告する。
「雪で滑るから、足下に気をつけろよ!」
一瞬彼女は俺の方を向いたが、今度は全速力で走り出した。
俺の声が聞こえなかったのだろうか?
ふと、周囲を見渡すと、多くの視線が俺の方に向けられていることに気付いた。
「・・・」
ああ、
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