7 「黒の残滓」
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。このドジっぷりが、どうにも他人事に見えない。いや、他猫事だった。
「ふむふむ、エリア6の滝をどうにかしてのぼって行けばいいわけね……」
どこからともなく取り出したメモ帳に書き込むと、しっかりとそれをポケットにしまった。どうやらエリザはなんとかしてあの青年にもう一度会うつもりらしい。
「あいつをユクモのハンターにできれば、これ以上ない収穫よ。どうにかして村に引き込めないかしら」
一応自分の為だけでなく村のことも考えているようなので、苦笑にとどめる。
「あの人、人間恐怖症なの?」
「ニャンにはよく分からないけど、確かに旦那が人間と喋ってるのなんて見たことないニャ。今日も朝お礼を言いに行ったら、昨日のあんた方との会話が1年ぶりだって言ってたニャ。びっくりだニャ」
日頃のハーヴェストへの対応の慣れからか、ハナはエリザに比べ幾分か怯えずにリーゼロッテの問いに答えた。その分饒舌にもなっている。
「寂しくないのかな……」
「ニャー、旦那が渓流のあの家に住むようになってから大人の話だとかれこれ7年らしいから、もう慣れっこなんじゃないかニャ?」
エリザが黙って考え込んでいるので落ち着いたのか、倒木に腰掛けて顔を拭う仕草をした。こうみると本当にアイルーと何も変わらない。
「確か1年前喋った相手はヨルデ村からキノコ摘みにきた男の子だったニャー。ただのジャギィの群れに襲われてたんだけど、それでも子供にしたら脅威だニャ。ついでにキノコ摘むの手伝ってやったニャ。お土産に秘蔵のドスマツタケまで持たせる始末だニャ」
「ほんとに優しいんだね……」
「ニャ。たまたまその時一緒にいたから、ニャンまでキノコ狩りさせられたニャ。人としゃべるのは苦手なくせに、人が困ってると助けないではいられない、っていうタイプだニャ」
やらやれといいつつも、ハナの中では楽しい思い出として残っているようで、むふふと思い出し笑いをこぼしていた。リーゼがぽんと手を叩くと、ねえねえと未だ考え込んでいるエリザに声をかけた。
「そんなに優しい人ならさ、正式にお願いしたらいいんじゃない? 回りくどいことしないでさ。“ユクモ村がピンチなんです。助けてください”って」
「そんなにピンチでも無いわよ?」
「んーと、んーと、先輩ハンターがわたし達を特訓する暇もなく依頼で忙しいから、指南して欲しい、とか」
「そぉねぇー。村長に聞いてみましょう。まずはそこからだわ。ハナ、あんたリオレイアの鱗が1枚欲しいんだったわね」
「へっ?」
「1枚上げるわ。だから、明日この時間にここで待ってなさい。ついでに家からマタタビ持ってきてあげるから」
「ほんとかニャ!? で、でも何をする気ニャ…?」
「なーに、簡単な仕事よ。明日渡す手紙を、ナギって奴に渡してくれれ
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