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Monster Hunter ―残影の竜騎士―
7 「黒の残滓」
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た村は壊滅。避難していたから死者こそ出なかったものの、それでも大きな被害が出たわ……」
「エリザ……」
「もう引きずってないわよ。むしろハンターとして尊敬できる死に様だわ。今言いたいのは、あの時3人パーティだった姉さん達ですら叶わなかった相手が、ナルガクルガだってこと。もちろん違う個体だろうし、今なら姉さんだって実力的には勝てる筈。……ただ、このあと1回も2人はナルガ狩猟クエストは受注してないけどね」

トラウマになっちゃったんだってさ。

 なんでもないことのように言うが、エリザの心境としてはいかばかりだろうか。
 ハンターとは、言わば信頼業である。トラウマが合ってこのモンスターは狩れません、では次から来る依頼は激減してしまうはずだ。もちろん、誰にだってそういった経験の1つや2つはある。故郷の村を壊滅させたモンスターだとか、幼い頃運悪く遭遇してしまったモンスターであるとか。
 しかし、それすらも正面から己の技量で克服していくのもまた、ハンターなのだ。

 ユクモ村を出発して2時間。渓流の麓についた。これから更に30分かけて崖を慎重に登ってゆき、狩場へと向かう。

「……ここで、あいつは飛び降りた。ナルガクルガの背に乗って…ね」

 小石を弾き飛ばしながら進むガーグァ車に揺られながら、エリザは崖を見下ろした。下は緑が生い茂っている。ちょうど木々を縦に3本積み上げたくらいの高さの崖だ。飛び降りたら足の骨折は免れまい。

「……お礼、言い損ねちゃったな」
「渓流の奥地に住んでるみたいよ。ヨルデのハンターかとも思ったんだけど、違ったみたいね。本人曰く“人嫌いの物好き”らしいわ」
「………かっこよかったよね」
「………そうね。うちの村にはいないイケメンだったわ」

 二人して思い出してぽっと頬を染める。リーゼロッテが焦ったようにブンブンとケルビのように頭を振った。

「ちょ、狩りの前になに言ってんの! 集中しなきゃ!」
「そういうリーゼだって思い出して照れてたくせに〜。お姫様抱っこされちゃってー」
「エリザ!」
「うふふ、ごめんごめん」

 全く悪びれていない様子のエリザに、真っ赤になりつつそっぽを向いて警戒しているふりをする。が、頭の中はそれどころではないのは、傍目にも明らかだった。そんなリーゼロッテをくすくす笑いながら見守るエリザ。

「……なんか、あの2人妙に仲良くなったよな」

 そんな少女達に、前方の竜車から見守る男達は首をかしげていた。

「さてと。わたしたちが襲われたのはここ、なんですけど……」

 渓流に到着、エリア5に来るも、予想していたリオレイアの姿はない。そのまま警戒を続けつつ慎重に移動していくと、エリア9にてレイアの亡骸を発見した。周りには3匹のジャギィ達がその肉をつつい
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