英雄去りて祭りが始まる
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るらしい。
まったく、友愛党の爪痕は過激派のこんな所にまで現れるなんて……」
友愛党というのは、人形師が政権を追われた後にできた帝国和平推進をスローガンとした党で、戦争の継続ではなく和平を目指した理想主義者の集団である。
そのスローガンに賛同した市民だが、そのスローガンの実現手段を何も持っていない事が露呈し政府内が大混乱に陥る事になる。
そして、その理念のみの平和主義の代償は『今なら同盟叩ける』と勘違いした帝国軍の軍事侵攻を呼び込んでしまい、こんな無様な政権運営を市民が許すわけもなく、その次の選挙で壊滅的打撃を受けて党は消滅。
あげくに、友愛党のスポンサーにフェザーン資本やフェザーンメディアがバックアップしていた事が露呈して、同盟の対フェザーン感情が悪化するというおまけまでつく始末。
彼らの暴走の結果、同盟内の和平勢力はその体制建て直しに二十年はかかるだろうと言われ、現政権は友愛党のやらかした対外関係の建て直しに悲鳴をあげているのはヤンでも知っていた。
「彼らも現状ではあのプラカードが実現できないのは知っているわ。
だが、あんなプラカードでも無いよりはましらしくてね。
人間ってのは分かりやすいスローガンを欲しがるものらしいわね」
『そんなものでもないと人はまとまならいからだ』と彼女を作った人形師はぼやくだろう。
なお、人形師は『馬鹿は一まとめにしておいた方が制御しやすい』という理由で憂国騎士団設立に関わっていたりする。
退役軍人会や軍産複合企業の支援を受けて、無視できない圧力団体になった憂国騎士団は反友愛党の受け皿になってその勢力を伸ばしていたが、現実主義への模索を試みていたのである。
「えらく彼らの事を知っていますね」
「そりゃそうよ。
彼らに軍代表として現状のレクチャーしたの私だから」
よほど酷かったのだろう。
アンドロイドなのにその顔に疲れが見えるような表情を見せるあたり。
彼女はそこでヤンの方を振り向いてぽんと手を叩く。
「しまった。
史学研究科のあなたにさせればよかったんだわ。
理想に凝り固まった馬鹿の教育って、動物園のサルに物を教えるより厄介よ」
サルに失礼な事を言ってのけた彼女に対して、ヤンは乾いた笑いを浮かべる事しかできない。
とはいえ、話の続きは聞きたかったので、ヤンはそのまま話を振ってみる。
「で、教えた結果どうなりました?」
「うん。
『帝国つぶす前に友愛党残党とフェザーンぶちのめす』だって」
「うわぁ……」
アルフレッド・ローザス元帥号授与式を餌に、730年マフィアの業績を称える記念行事が乱発される真の理由。
それは、友愛党政権時代の外交的大失政を忘れたいという同盟市民の心のケアも含
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