英雄去りて祭りが始まる
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で傭兵をしていた連中が同盟内で仕事をするとろくでもないトラブルを頻発させたので、同盟では帝国で仕事をした傭兵は基本的に雇用しない方針を貫いていたのだった。
同盟・帝国と伍する力を持ってしまったが為に、いやでも両国の内政問題に巻き込まれるジレンマにフェザーンは陥っていた。
だからこそ、アドリアン・ルビンスキーなどは『フェザーン星系一つに戻ろう』という領土縮小主義を主張しているのだが、人間は一度得た物を手放すのが難しい。
それだけでなく、フェザーン星系一つに戻る場合、現フェザーン領土は同盟側にあるのでその帰属は確実に同盟になり確実にパワーバランスが崩れてしまう。
このあたりの判断の難しさがあって、ワレンコフ自治領主は未だ自治領主の椅子に座っていられるという事らしい。
それも長くは持たなそうだが。
「そういえば、そのアレクセイ・ワレンコフ氏なんだけど、同盟に帰化申請が内々に出ているのは知っているかしら?
『長く同盟で働き、同盟に愛着がわいた』からなんだけど。
彼の会社登記もハイネセンポリスだし、同盟は認めるみたいね。
今の仕事はそのまま続けてもらうから、帰化後も代将相当官として同盟軍統合作戦本部では考えているみたい」
さらりと出てくる爆弾情報にキャゼルヌだけでなくヤンですら驚きでティーカップの音を立てる始末。
自治領主の親族が亡命まがいの帰化申請を出すなんて、ワレンコフ自治領主の寿命はほとんど尽きていると言っているのと同じだからだ。
「フェザーン方面軍が訓練名目でえらく物資を請求していたのはこれか……
お偉方はどうもフェザーンが内乱になるんじゃないかと怯えているらしいな」
キャゼルヌの呟きは外れる事になった。
この半年後、ワレンコフ自治領主は不自然極まりない事故死によって自治領主の椅子を明け渡たすが、新たな自治領主となったアドリアン・ルビンスキーは国内安定の為と称してワレンコフ路線の継承を宣言したからだ。
何だかの変化はあるのだろうが、今の所は大丈夫と帝国と同盟双方が胸をなでおろし、アレクセイ・ワレンコフが同盟に帰化するのは少し先の話。
ヤンが彼女を官舎に送る途中、彼女が立ち止まったそのデモの光景を目にする事になる。
掲げているプラカードは『早期の帝国打倒!』『フェザーンに奪われた領土の奪回!』など対外的に過激な事ばかり。
「憂国騎士団か。
彼らも大変ね」
彼女の呟きにヤンが疑問の口を挟む。
「何が大変なんですか?」
その質問に彼女は馬鹿馬鹿しいとばかりに肩をすくめた。
笑わないとやってられない馬鹿話をお姉さまはヤンに教えてやる。
「彼ら、あのプラカードの実現の為に軍の研究機関や民間のシンクタンクを使って現実性を探ってい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ