英雄去りて祭りが始まる
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滅的打撃を受けたのにも関わらず大歓喜に沸いている帝国領に逆侵攻して見せたのだ。
その時の三個艦隊にベルティーニ・コープ提督と混じって人形師の艦隊が居た。
この逆侵攻はあくまで帝国に対する政治的威圧でしかなかったからアムリッツァ星域を偵察後に軍を返しているが、貴族の私兵すらかき集めてアムリッツァ星域に大軍を送り込んだ帝国は第二次ティアマト会戦の大損害とこの逆侵攻に大いに驚いてイゼルローン要塞建設を決意する。
これが完成は分かるが建設時期が分からないイゼルローン要塞の建設を確定させようとした人形師のしかけた罠だなんて見抜ける人間はいなかった。
同時に、逆侵攻を行った結果として帝国の強大さを説きつつも、専制国家による腐敗と硬直化を指摘、いずれ経済的に帝国が破綻する事を見抜いて専守防衛かつ相手に出血を強いる『アッシュビードクトリン』を採択。
死者を徹底的に利用したこのドクトリンによって、はっきりと帝国打倒の戦略を持つ事ができた同盟はその実現を目ざす事になる。
イゼルローン回廊戦による建設途上のイゼルローン要塞破壊によって経済的に破綻した帝国軍は以後20年近く軍を派兵する事ができなくなり、その平和の果実を同盟が享受するようになると730年マフィアの面々も後進に道を譲るようになる。
人形師とウォリス・ウォーリック及びファン・チューリンが政治家に転進すると、フレデリック・ジャスパーが長く宇宙艦隊司令長官として同盟を守り、アルフレッド・ローザスが統合作戦本部長についてそれを支えた。
ヴィットリオ・ディ・ベルディーニとジョン・ドリンカー・コープの二人はあくまで現場に留まり、新たに作られた方面軍の初代司令長官となった後に退役し士官学校にて後進を育てる道を選んだ。
彼らは色々私生活では幸も不幸もあったが、ベッドの上で子孫に見送られて死んだ事を考えれば幸せだったのだろう。
なお、政治家になった三人はウォリス・ウォーリック、人形師の順で最高評議会議長の椅子に座り、ファン・チューリンはこの二人の時代の国防委員長を全うしている。
対帝国戦において730年マフィアは文字通り政軍ともに活躍し続けて、今の自由惑星同盟の繁栄があるのは間違いがない。
彼らが結束して守り育んできた平和なのだが、本人の命とはいえ彼らの死後にそれを茶化すのは大いに無理がある。
だが、それを理由として彼らを賛美する事は政治としては正しいのだった。
アルフレッド・ローザス元帥号授与式を餌に、730年マフィアの業績を称える記念行事が乱発され、同盟市民はそのお祭り騒ぎに酔う事で再び脅威を増してきた帝国の事を忘れようとしていたのかもしれない。
あと、三ヵ月後に選挙が控えている事も理由になるのだろう。
民主主義国家だから。
「いらっしゃい。
歓
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