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「ううん、ここまで来たんだもん、最後まで付き合うよ」

 リーファはそう言って勢いよくベットから飛び上がると体を反転させてキリトとゲツガのほうに手を伸ばした。

「さ、行こ!」

「ああ」

 ゲツガとキリトは微笑んでからその手を取った。そして立ち上がるとキリトは何か思い出したように胸ポケットを軽く叩いた。

「ユイ、いるか?」

 その言葉が終わらないうちにキリトの娘、ゲツガの妹はポケットから顔を出し、大あくびをした。

「ふわぁ〜〜〜……。……おはようございます、パパ、お兄ちゃん、リーファさん」

 そしてユイは飛んでキリトの肩に着地した。

「おはよう、ユイちゃん。……あのね、昨日から気になってたんだけど……そのナビゲーションピクシーも夜は眠るの?」

「まさか、そんなことはないですよー。でも、パパたちがいない間は入力経路を遮断して蓄積データの整理や検証をしてますから、人間の睡眠に近い行為と言ってもいいかもしれませんが」

「でも、いま、あくびを……」

「人間って起動シークエンス中ああいうことするじゃないですか。パパなんて平均八秒くらい……」

「妙なことを言わなくてよろしい」

 そう言ってキリトはユイの頭を指で小突いた。

「まあ、ちょっと高性能で学習するやつだったんだろうよ、キリトのナビピクは」

 そう言ってゲツガは宿の入り口に向かう。その後にキリトとリーファもついて来た。宿を出ると太陽はもう真上に上がっている頃だった。ショップも大半が開き、昨日の夜よりも賑わいを見せている。さすがALO最大の都市だけあっていろいろの種類の妖精たちが街を行き交っていた。そして歩き続けること数分、少し上を向くと世界樹が視界に入った。

「あれが……世界樹……」

 ゲツガが呟くとキリトも足を止めて世界樹を見上げた。

「昨日も見たけどすごい迫力だな……」

「うん……。すごいね……」

「確かあの上も大きな街があるんだったよな?」

 ゲツガが世界樹から視線を外さずに訊ねるとリーファが答える。

「うん、妖精王オベイロンと、光の妖精アルフが住んでいて、王に最初に謁見できた種族はアルフに転生できる……って言われてる」

「そうか……」

 そう言ってゲツガもキリトもしばらく無言になる。そしてキリトが真剣な表情でリーファに聞いた。

「あの樹には、外側から登れないのか?」

「幹の周囲は侵入禁止エリアになっていて、木登りは無理みたいだね。飛んでいこうとしても、とても上までいけないうちに、翅の限界が来ちゃうらしいよ」

「スピードの問題もあるだろ?もしかしたらいけるかもしれない。それに、前に何人かが肩車して限界を突破したやつの話しも聞いたけど……」
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