フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十一話 下層の世界
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ンモラ」
“礼は要らぬ。用が済んだのなら早々に立ち去るがよい。この国はこの国で生まれたものしか住まうことができぬ”
「ああ、そうするよ。縁があったらまた会おう」
そういってシンモラのもとからギンヌンガガプに向かって全力疾走するソレイユ。その背中をシンモラは唯々じっと見守るだけだった。
◆
シンモラのもとから離れたソレイユは現在ギンヌンガガプを飛行しているところだった。もう間もなく飛行制限がかかるころなのでさっさとニブルヘイムに降り立とうとするソレイユ。無事に氷の国に降り立つことができたのだが、ムスペルヘイムとの急激な温度差をうけ、思わず呟いてしまう。
「さぶっ!」
「氷の国なのだから当たり前であろう」
「っ!?」
誰かに向かって言ったのではないのだが、ソレイユの呟きに反応する者がいた。【エクリシス】に手を掛けながらその方向を向くと昨日知り合った顔がそこにあった。
「ロキ?」
「あの時の言葉に偽りはなかったらしいな。まさかこんな早くにこの場所に来るとは、な。まぁ、いい。その知恵に免じて今回は我が手助けすることにしよう。乗れ、妖精よ」
そういって後ろを差すロキ。その方向を見てみると八本脚の軍馬がいた。その正体がわかったソレイユであるが、なぜそれがここにいるのかがわからなかった。
「義兄から少々拝借してきた我が子だ。案ずるな。ただ上層へと送ってやろうという我の気まぐれだ」
「・・・そういうことなら、その気まぐれに感謝することにするよ」
そういって軍馬に跨るソレイユ。それを確認したロキは軍馬を空中に走らせる。見る見るうちにニブルヘイムが小さくなって、やがて見えなくなる。軍馬に跨りながらソレイユはロキに問い掛けた。
「なぜ、あんたはおれに手を貸す?」
「気まぐれだ、と言ったはずだ」
「・・・・・・」
その言葉から読み取れる真意は何もなかった。本当に気まぐれなのか、それとも何か裏があるのか、ソレイユでもわからなかった。
◆
「―――と、いうわけなんだ」
「「・・・・・・」」
あれからロキの手によってヨツンヘイムに戻る事が出来たソレイユであったのだが、ルシフェルとレヴィアにばっちりとロキといられる所を見られ、挙句の果てにロキが去り際に――
『ではな、知恵のまわる妖精よ』
などというものだから、ロキとの関係をはぐらかしようが無かった。観念して、有りのままの事を話す羽目となったソレイユ。ウィドフニルとの遭遇から始まり、レプラコーン領でのロキとの邂逅。そして、中央大空洞の先に有ったものから、そこで起こった出来事まで、ソレイユの考察を含めて話す羽目となった。
「なるほど、な・・・」
「なんつ
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