フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十一話 下層の世界
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を失った。もう一度唱えるのも面倒なので、さっさとこの氷の国からおさらばすることにする。
全力で走り、ギンヌンガガプを飛び越えるように地を蹴るソレイユ。そこからは無駄に上昇することはなくそのままの勢いを利用して翅を羽ばたかせる。半分くらい過ぎたところで、ありえないほどの熱気がソレイユを襲った。少しづつだが、HPの減少もみられる。
「ちっ!」
らしくない舌打ちをして飛行中でもあるにもかかわらずウインドウを操作して耐火の保護があるマントを羽織るが気休めにしかならない。思った以上にムスペルヘイムという場所は熱い場所だった。さすがは灼熱の国、などとソレイユは心の中でへんに賞賛するあたり、ああ見えて結構余裕があるソレイユだった。
裂け目を渡りきると更なる暑さがソレイユを襲う。早く目的を果たさなければHPが全損してしまうだろう。とりあえずまっすぐ歩いていくソレイユ。
“なぜ妖精がここにいる?”
不意に聞こえた声があった。その方向に顔を向けると青白い巨人がそこにいた。体に起伏が見られるので女性ということがわかる。
“もう一度聞こう。なぜここに妖精がいる?”
「シンモラって女巨人に用があってきた」
“ほう、妾に用とな。ここまで来た度胸に免じて話ぐらいは聞いてやるぞ?”
どうやらシンモラご本人だったらしい。ならば好都合といった様子でソレイユはアイテムウインドウを操作して、ある一つのアイテムをオブジェクト化する。
「これと“あるもの”を交換してほしいんだ」
『雄鶏の尾羽』をシンモラに見せつけるようにするソレイユにシンモラは得心がいったというように頷いてた。
“・・・よかろう。まさか妖精がそれを持ってくるとは思いもしなかったが・・・”
何やら見下された感が半端ないが面倒事を増やしたくない今は黙っておくことにするソレイユ。シンモラは厳重に鍵のかかった箱を取り出した。それを見たソレイユは顔を強張らせるが、シンモラは何気なくソレイユに言った。
“案ずるな、妖精。ここまで来れた褒美として特別に鍵は妾が開けることにしよう”
「ふぅ・・・感謝するよ、シンモラ」
ソレイユの礼に特に答えることもせず、シンモラは匣に掛けられた九つの錠を外していく。錠を外し終わった匣の中から出てきたのは、ドデカい何かではなくソレイユでも装備できるサイズのガラスの飾り紐だった。燃えるように紅いガラスでを持って造られているそれは魅入るほど鮮やかなものだった。それをシンモラはデカい指でつまむとソレイユの方に差し出してくる。
“受け取るがよい、妖精よ”
その言葉通り、紅いガラスでできた紐飾りを受け取るソレイユ。早速その装備の名称を確認してみると、思うとおりの名前が出てきたので思わずにやけてしまう。
「ありがとう、シ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ