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第五十一話 下層の世界
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。あれから邪神を葬り去ったのは六回、手に入れたグリモワールの数は六冊だった。結局百%の確率でグリモワールを引き当てるソレイユの運に物欲センサーはかなわなかったらしい。

「さてさて、何が出るのかなーっと・・・」

そう言いながらグリモワールを使用するソレイユ。習得した魔法は以下の通りである。

最上級魔法「最上級火属性魔法」
最上級魔法「最上級水属性魔法」
最上級魔法「最上級光属性魔法」
最上級魔法「最上級風属性魔法」
最上級魔法「最上級闇属性魔法」

全てが最上級魔法だった。おまけに望んでいた最上級幻属性魔法は引き当てることができなかった。流石に今回は物欲センサーはしっかりと仕事をしているらしい。残るグリモワールはあと一冊。望みをかけてオブジェクト化したグリモワールを使用する。

『最上級魔法「最上級幻属性魔法」を習得しました』

メッセージウインドウを見た時、柄にもなくガッツポーズをするソレイユ。早速幻属性魔法と最上級幻属性魔法をスキル欄にセットする。どうやら初期のころから【インビンシブル・インビジブル】は使用できるらしい。ならば、使用する他ない。

「さて、と・・・いきますか」

流石にシェイドのように複数の幻属性魔法を今は使う必要がないので、【インビンシブル・インビジブル】のみを発動させる。準備が整えばあとは行動するのみである。

「(どこにあるのかな、っと・・・)」

なんて声に出さずにキョロキョロしながら歩いていると、目の前から巨人が歩いてくる。とりあえず保険もかけて物陰(氷の陰)に隠れるソレイユだが、それは杞憂に終わる。ズシンズシンと音を立てて通り過ぎる巨人。充分距離が離れたのを見計らってソレイユは物陰から出て再びキョロキョロと周りを見ながら目的のものを探す。

―――五分後

氷の国なのに泡が一緒に流れる川があった。間違いなくこれがエーリヴァーガルなのだろう。一説ではこの泡にある毒気から霜の巨人族が生まれたとされている。

「(あとはこれを南に進むだけ、か)」

凍りながら北に流れているとされる川であるエーリヴァーガルである。ならば流れに逆らっていけば自ずと南に着くのは自明の理だった。そして、歩くこと三十分。巨大な裂け目を見つけた。

「(これがギンヌンガガプ、か・・・)」

氷の国ニブルヘイムと灼熱の国ムスペルヘイムを隔てる世界の創造より前に存在していたと言われる裂け目である。周りを見渡しても橋らしい橋は見えない。飛行可能時間はまだあるし、暗中飛行という特性のおかげで真っ暗なこの場所でも飛べることには飛べる。

「(まぁ、今は考えていても仕方がないか・・・)」

そういって助走をつけるソレイユ。何回か掛けなおした【インビンシブル・インビジブル】はつい今しがた効果
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