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第五十一話 下層の世界
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だろうな」

そう言いながら覗くのをやめ、アイテムウインドウから『雄鶏の尾羽』をオブジェクト化し、中央大空洞(グレートボイド)に向かってひらひらと見せつけるようにしている。しかし、これといった変化は見られなかった。

「何がしたいんだよ?」

「まぁ、ちょっと・・・んー、これでもダメならいっそのこと飛び込むか・・・」

「俺らインプは暗中飛行のおかげでこういった閉鎖空間でも飛べることには飛べるがそう長くは飛べないんだぞ。飛び込んだ後どうする気だ?」

「何とかなるだろ・・・じゃ、いってくっから!」

そういって中央大空洞(グレートボイド)に飛び込むソレイユ。レヴィアが慌てて中央大空洞(グレートボイド)を覗き込むがすでにソレイユの姿は見えなくなっていた。対してルシフェルはアイテムウインドウからキャンプ用バーナーやテント、寝袋、さらには食材と調理用具と言ったものを取り出している。現実のようにわざわざテントを組み立てる必要はないので、楽に準備が終わった。この中央大空洞(グレートボイド)まで到着するのに四時間もかかった。現実では夕食時である。

「レヴィアー、なんかリクエストあるか?」

「いや、特にないが・・・って、そうじゃないだろ!あいつ、真っ逆さまに落ちちまったぞ!」

「ああ、そうだな。そのうちひょっこり帰ってくるだろ」

やけに落ち着いているルシフェルを見たレヴィアは毒気を抜かれてしまった。溜息を吐きルシフェルの向かいに胡坐をかいて座る。残念ながらスカートではないので覗くことはかなわなかった。
それから、ソレイユが戻るまで二人は氷のダンジョンで巨人に見つからないようにキャンプをする羽目になった。ちなみに夕食はカレーに似た何か。よくそんな食材を持っていたな、と領主を称賛する声があった。



現在ソレイユはどこまで続くかわからない闇の中を落下中である。人がスカイダイビングの時に落下する速度が時速二百キロであることを前提に考えると、飛び込んでから三十分が経過している今、そろそろ地面が見えてきてもいいと思うのだが、と考えたところで氷の地面が見えた。
すぐさま翅を使って急停止を掛けるソレイユ。静かに地面へと降り立ったソレイユは周りを見渡しながら口を開いた。

「氷の世界・・・ニヴルヘイムで間違いなさそうだな・・・ヨツンヘイムの巨人より獰猛らしいからここは不用意な戦闘は避けるべきだな。つか、第三層って真っ暗なのな・・・」

自身の神話知識を頼りにこれからのことを決める。まず見つけるのはエーリヴァーガルという川である。

「こういう時にシェイド見たな魔法が使えたらなぁ、なんて思うが・・・そういや、あれからグリモワール手に入れたんだっけ・・・」

氷の陰に隠れながらアイテムウインドウを操作するソレイユ
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