その16
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と、ナルトは意外と可愛らしい顔をしていると気がつき、顔に血が登った。
不自然にならないように視線を外す。
「だから!俺の事は呼び捨てでいいって言ってんだ!」
吐き捨てるように要求すると、何故か沈黙が落ちた。
何も言わなくなったナルトが怪訝に思い、視線を移す。
そして絶句した。
ナルトは只でさえ大きめの青い瞳を、これ以上無いくらい見開いて、頬を紅潮させて食い入るように俺を見つめていた。
全身で喜びを露わにしている青い瞳に見つめられ、居心地が悪くて落ち着かなくなっていく。
何だ?
こいつのこの反応は。
「良いの!?」
きらきらと期待に目を輝かせて確認して来たナルトに引きながら、不愉快になりつつ承諾する。
「今更お前に君付けされるとか気持ち悪いんだよ!」
今更コイツに君づけで呼ばれるのは気持ち悪い。
それは間違いない。
そして、それ以外の意味など無い。
はっきりと、そう言ってやったと言うのに。
「うん!分かった!」
非常に嬉しそうに笑う、ナルトの笑顔にどきりとした。
抑えても抑えきれないとでも言いたげに、ナルトは頬を染めて笑み崩れている。
何がそんなに嬉しいのか判らないが、ここまで嬉しそうにされれば、俺だって悪い気はしない。
それに、何だか気恥ずかしくなっていく。
だって、こいつは本当は女な訳だし。
俺の名前を呼び捨てにするだけでこんなに喜ぶなんて、もしかしてこいつ……。
ある予感に俺が胸を高鳴らせた時だった。
「じゃあ、僕、これからサスケの事、呼び捨てにするからね!?」
非常に期待に満ちて、嬉しそうにするナルトが紅潮した顔のまま、俺に詰め寄ってきた。
余りの顔の近さにどぎまぎとする。
そんな俺に、ナルトはとんちんかんな事を言い出した。
「それでそれでさ、サスケも僕を呼び捨てにしてね!?僕の事、呼び捨て以外で呼んだら駄目だからね!?」
「……あ?」
俺はコイツを呼ぶ時、既に呼び捨てで呼んでいる。
なのに何故こんな事を言われなきゃならない。
そう思った俺の背中は、ナルトの浮かれた声が紡いだ言葉に冷えた。
「僕もサスケに僕を呼び捨てで呼ぶの許してあげる!僕を呼び捨てにしていいのはサスケだけだからね!」
ニコニコと無邪気に笑うナルトに、ぞっとする。
ナルトが本気だという事は嫌でも伝わってきて、ナルトの里に対する負の感情の深さを垣間見た気がした。
何故なら、ナルトを呼び捨てにしている奴など掃いて捨てるほどいる。
そいつらにも、コイツは穏やかな笑みを浮かべて親切に対応している。
コイツが親しげに接している奴らだって、その中にはいるのに。
ナルトの言葉からは、そいつらがコイツを呼び捨てにするのを許して居な
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