その16
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「でもね、私、よわむしなの。ころしたいのに、生きてるひとがしぬのは嫌」
割と整っている細い眉が歪み、その下の青い硝子のような瞳が涙に潤む。
「でもきえないの。くるしくって、きもちわるくてだまってられないの。くいちぎってやりたくなるの。だから、強くなるんだ。サスケも一緒に強くなろ?」
痛みと弱さを涙に隠して、殺意と闇に揺れ、儚く笑う青い瞳に、俺は何も言えなくなった。
舌足らずな寝ぼけ声であどけなく告げられたナルトの負の感情は、理解できる物だった。
それに、あの時里がどうこうと言っていた。
里人からコイツがどんな扱いを受けていて。
コイツに関わるようになってから、母さん達が里の奴らからどんな風に言われていたのかも知っている。
それらを繋げてしまえば、コイツがどんな気持ちなのか、嫌でも分かる。
分かるから、コイツの誘いを、振り切れない。
「……忍術使えないお前と修行しても役に立たない」
提案をはねのけようと突きつければ、ムッとした顔でナルトは口を尖らせた。
「立たなくないよ。忍術で殺すだけが人を殺す方法じゃないもん」
さっきよりも明瞭になった口調に、ナルトも覚醒した事が分かる。
それに、さっきよりもしっかりと、俺と視線を合わせてきた。
「それに僕、尾獣持ちだって言っただろ?尾獣の殺気って、イタチさんの殺気より凄いよ?九喇嘛の殺気に慣れてれば、イタチさんの殺気も平気になるんじゃないかな、きっと。サスケ、うちはだし。多分、本気で九喇嘛も殺気ぶつけると思うしさ。僕の中の九喇嘛に会うのは写輪眼の修行にもなるんじゃない?殺気に慣れちゃえば、恐い物なんてなくなるよ?」
初めて目にする不遜な笑みで俺に笑いかけるナルトに、気を飲まれる。
そんな俺に気付く事無く、ナルトは言葉を繋げた。
「僕の敵もさ、写輪眼を持ってるんだよね」
「何だと!?」
その言葉は聞き捨てならなくて、ナルトに詰め寄った。
「というか、九喇嘛の敵が『うちは』なんだよね。木の葉の人柱力に封印されるきっかけ、『うちは』みたいだし。だから、僕に取っても、写輪眼持ってるサスケと修行するのは好都合なんだよ」
真っ直ぐに、瞳術使いの俺の目を見据えてナルトは笑う。
まっすぐ過ぎるその視線に、一体何を言えば良いのか分からなくなる。
そこへナルトは畳み込んで来た。
「ね、サスケ君。僕と一緒に強くなる為に修行しようよ」
その、今まで通りのいつもの口調と呼びかけの誘い言葉に、怖気が走る。
本性らしき一端を知った今、ナルトの普段通りの呼びかけは気色悪い。
だから思わず言っていた。
「サスケでいい」
「……え」
俺の言葉が意外だったのか、ナルトはきょとんと目を丸くした。
そうしている
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