その16
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こいつは確か女じゃなかったか!?
それだって、証拠の無い戯言に近い事だけど。
じっくりと観察するには気まずくて。
こんな奴に構っている暇なども惜しくて。
そんな事もあって避けても居たのに。
何でコイツはここに居るんだ!
つか、何でコイツがここで寝てやがる!?
混乱した頭は同じ疑問に辿り着く。
「おい、ナルト!!お前ここで何してやがる!!!!」
返答次第では問答無用で殺す。
そういう気持ちで、十分殺気を乗せて怒鳴りつけてやったのが良かったらしい。
ぽわんとした寝起きの顔を晒しながら、ナルトが瞳を開けて身を起こした。
幼い仕草で目を擦るナルトに、どきりとした。
ナルトの動きに肌けていく浴衣の隙間から垣間見える、華奢で、少し丸みを帯びた身体の線にどぎまぎとする。
見えそうで見えない感じが、よりいっそう視線を集めてしまう。
そして俺を目に写した瞬間、酷く嬉しそうにナルトは笑った。
今まで俺が見た事が無いほど無邪気で可愛らしい微笑みに、思わず目が奪われる。
硬直した俺の耳に、酷く緩み、甘えたナルトの声が届いた。
「おはよぉ。さすけぇ」
身体の芯を擽るような甘い疼きが胸に沸いて、気が変になりそうだ。
そんなふうに、初めて感じるばつの悪い気持ちで不快になったときだった。
「あのさぁ、僕、思ったの。さすけ、これから強くなるんだろ?だったらさ、僕ところしあおうよ」
は?
今何てった?
寝起き直後の目覚めきらない舌足らずな声音で呟かれた言葉に俺は耳を疑った。
「きっとさ、ただ手合わせするより役にたつよ。私だってふくしゅうしたいし。ふくしゅうするには、ちゃんところせなくちゃ。とどめさすの平気になんなきゃいけないから。だから、練習するのにちょうど良いと思うの」
ぽやぽやと夢の中をさまよいながら紡いで居るような声と、その声で紡がれていく言葉の数々との相違に、俺は思わず顔をひきつらせた。
コイツは一体何を言ってるんだ?
確かに、アイツを追うのならば、それはいずれ必要になると思う。
が。
何故、今、ここで、俺に言う。
「さすけも強くなりたいでしょ?私もなの。だからね、私には九喇嘛がいるから、私ところしあってたらさすけにゆうりだよ。二人でどっちも選べるくらいに強くなろうよ。イタチさんのおもわくどーりに乗せられるのはしゃくじゃない?強くなっていたちさんをびっくりさせよーよ。僕、ずっとかんがえてたんだけど、それが一番いいとおもうの」
寝ぼけた声でぽやぽやと告げられる言葉に俺の顔が歪んでいく。
何なんだ、コイツは。
「わたしもね、ころしたいの」
とろり、と眠気を訴える瞳で、明確で何かに対する殺意を突き付けられて、俺は硬直した。
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